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今日のきみとぼく
源岬への愛だけで構成されております。
白と黒(2)
※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。
昨日の続きです。

angel-3.jpg

「待たせたな」
ミサキの黒い翼の陰から姿を現したのは、更に深い闇を背負った男だった。蝙蝠のように醜い羽や、山羊のような角を見るまでもない。
「よくもミサキをたぶらかしたな、この悪魔」
俺の怒声に、悪魔は口元を歪めた。唇の端に更に醜い牙を見て、俺は更に気分が悪くなる。
「ミサキ、迎えに来たぞ」
そう言うなり、悪魔はミサキの黒い翼に触れた。浄化されつつあった筈の翼は更に闇を帯び、濡れたような色になる。
「ミサキは自分の意志で戻って来たんだ。悪魔に渡しはしない」
完全に堕ちた天使は両方の翼とも染まってしまう。片方だけが染まったのは、逃げて来たからだと最初は思ったのだ。別れを切り出されるまでは。

「違う世界に行く前に、お別れを言いに帰って来たんだ」
そう言われて、初めてミサキの意図が分かり、俺は神の命もあって、ミサキの自由を奪った。

「あんたらにお別れを言いたいとは聞いたがな」
悪魔はそう言うと、ミサキに触れる。
「もう気は済んだろ?ほら、行くぜ」
悪魔が触れる度、ミサキを捉えていた枷が鳴って、床に落ちる。ミサキは力を取り戻したに違いなかった。本来のミサキなら、俺の付けた枷くらい簡単に外せるのだから。
 ミサキが行ってしまう。俺は踏み出そうとしたが、悪魔に抱きすくめられているミサキを見ると、何故か足が止まった。未だ知らぬ恐怖に、身動きもできず、俺は目を見張った。

「ねえ、ピエール」
悪魔の腕の中、染まり切らぬ翼を広げたまま、ミサキは微笑む。
「神様はすべてを愛するようにおっしゃったけど、僕は生まれて初めて、愛するってどういうことか、分かった気がするんだ。だから、後悔はしていないよ。さよなら、元気でね」
微笑みの残像だけを残して、ミサキは姿を消した。遠ざかりゆく羽音に、苦さが込み上げてくる。

 俺がお前を愛さなかったとでも?ずっと愛していた。お前がこの世に生まれた小さな光に過ぎなかった昔から、ずっと。
 お前を誰にも渡す気はなかった。大袈裟なまでに枷を付けたのは、嫉妬のせいだったのに。お前に絡み付いた鎖さえ、お前を止めるのに、何の意味も持たなかった。
 俺はゆっくりと翼を広げた。強い光に包まれていた筈の翼は、今や単に白いだけの羽の塊だ。

 ・・・俺の心を返してくれ。

 強すぎる嫉妬心が俺から光を奪った。天使の資格のないのは俺の方だ。

「ミサキ・・・」
二人の消えた空を、いつまでも眺めていた。

(おわり)

拍手ありがとうございます。
悪魔はもちろん、この方でございます。予想通りでしょう?
ピエールは最初描くつもりはなかったのですが、何故か描いてしまいました。
その結果、こういう話に。
堕天使の救済になっているかどうかは分かりませんが。
なお、管理人はこの手の知識がありませんので、適当設定です。

ちなみに↓は、二人バージョン。
angel-2.jpg
私はこのバージョンが一番好きです。

拍手お礼:
さくら様。いつもありがとうございます。
続けてコメント頂いていたのに、お礼がおそくなってすみません。
温泉は元ネタが可愛いので、便乗してみました。・・・可愛くなくてすみません。
そして今日はお迎えに来てもらいました。味付けが中途半端ですけど・・・。
この美味しいネタをこんな処理しかできない自分が恥ずかしい。
天使と悪魔話楽しみにしていますね。

拍手のみの方もありがとうございます。励みになります。

from past log<2009.4.23>
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック


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