※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。 昨日の続きです。 
「待たせたな」 ミサキの黒い翼の陰から姿を現したのは、更に深い闇を背負った男だった。蝙蝠のように醜い羽や、山羊のような角を見るまでもない。 「よくもミサキをたぶらかしたな、この悪魔」 俺の怒声に、悪魔は口元を歪めた。唇の端に更に醜い牙を見て、俺は更に気分が悪くなる。 「ミサキ、迎えに来たぞ」 そう言うなり、悪魔はミサキの黒い翼に触れた。浄化されつつあった筈の翼は更に闇を帯び、濡れたような色になる。 「ミサキは自分の意志で戻って来たんだ。悪魔に渡しはしない」 完全に堕ちた天使は両方の翼とも染まってしまう。片方だけが染まったのは、逃げて来たからだと最初は思ったのだ。別れを切り出されるまでは。
「違う世界に行く前に、お別れを言いに帰って来たんだ」 そう言われて、初めてミサキの意図が分かり、俺は神の命もあって、ミサキの自由を奪った。
「あんたらにお別れを言いたいとは聞いたがな」 悪魔はそう言うと、ミサキに触れる。 「もう気は済んだろ?ほら、行くぜ」 悪魔が触れる度、ミサキを捉えていた枷が鳴って、床に落ちる。ミサキは力を取り戻したに違いなかった。本来のミサキなら、俺の付けた枷くらい簡単に外せるのだから。 ミサキが行ってしまう。俺は踏み出そうとしたが、悪魔に抱きすくめられているミサキを見ると、何故か足が止まった。未だ知らぬ恐怖に、身動きもできず、俺は目を見張った。
「ねえ、ピエール」 悪魔の腕の中、染まり切らぬ翼を広げたまま、ミサキは微笑む。 「神様はすべてを愛するようにおっしゃったけど、僕は生まれて初めて、愛するってどういうことか、分かった気がするんだ。だから、後悔はしていないよ。さよなら、元気でね」 微笑みの残像だけを残して、ミサキは姿を消した。遠ざかりゆく羽音に、苦さが込み上げてくる。
俺がお前を愛さなかったとでも?ずっと愛していた。お前がこの世に生まれた小さな光に過ぎなかった昔から、ずっと。 お前を誰にも渡す気はなかった。大袈裟なまでに枷を付けたのは、嫉妬のせいだったのに。お前に絡み付いた鎖さえ、お前を止めるのに、何の意味も持たなかった。 俺はゆっくりと翼を広げた。強い光に包まれていた筈の翼は、今や単に白いだけの羽の塊だ。
・・・俺の心を返してくれ。
強すぎる嫉妬心が俺から光を奪った。天使の資格のないのは俺の方だ。
「ミサキ・・・」 二人の消えた空を、いつまでも眺めていた。
(おわり)
拍手ありがとうございます。 悪魔はもちろん、この方でございます。予想通りでしょう? ピエールは最初描くつもりはなかったのですが、何故か描いてしまいました。 その結果、こういう話に。 堕天使の救済になっているかどうかは分かりませんが。 なお、管理人はこの手の知識がありませんので、適当設定です。
ちなみに↓は、二人バージョン。
 私はこのバージョンが一番好きです。
拍手お礼: さくら様。いつもありがとうございます。 続けてコメント頂いていたのに、お礼がおそくなってすみません。 温泉は元ネタが可愛いので、便乗してみました。・・・可愛くなくてすみません。 そして今日はお迎えに来てもらいました。味付けが中途半端ですけど・・・。 この美味しいネタをこんな処理しかできない自分が恥ずかしい。 天使と悪魔話楽しみにしていますね。
拍手のみの方もありがとうございます。励みになります。
from past log<2009.4.23>
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック
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