※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。 クレスリウム王国様で「プチ堕天使祭」に参加しました。そしたら、楽しくてつい描いてしまいました。ダメ人間の真です。

羽が舞う。白い羽と黒い羽が飛び散る度に、ミサキは苦しそうに呻いた。
お前が悪いのだ。
悪魔に心を奪われたりするから。
天界でも屈指の白さと輝きを誇っていた翼は、片方が既に闇に覆われてしまっている。飛び上がれないように付けられた手枷足枷がなくとも、もはやその翼には羽ばたく力すら残っていまい?
未だ聖なる光を残す右の翼に俺は手を掛ける。黒く涜れた翼には触れることすら出来ないために、ここから浄化してやろうと思った。
「ピエール、痛い。羽が!」 浄化の力が及ぶ度に、黒い羽根がほろほろと舞い散るのを冷笑しながらも、とても冷静ではいられなかった。この世に生じた時から、その清らかな姿と優しい心で、ミサキは誰からも愛された天使だった。そのミサキを心から慈しみ、気に掛けて来て幾星霜。
それが、ある日目を離した隙に、ミサキは姿を消し、再び見つけた時には、翼の半分が闇に染まっていた。
悪魔に心を寄せたのだと、すぐに分かった。
下界に降りる天使を、奴らは常に狙っている。その清浄な魂を、曇りのない心を、美しい姿を、汚そうと企んでいる。その誘惑に負けて、堕ちた者は堕天使となる。
「どこに行くつもりだ?」 こうして身体を拘束したとしても、心までを繋ぎ止めることはできまい。これだけ浄化をしても、ミサキの片翼は戻らない。
「それは言えない」 ミサキは羽根のもげる痛みに耐えながら、健気に言い切った。白い肩に俺の指が食い込む痛みにも、もう声一つ立てない。
虚空を見つめる凜とした表情で、すぐに分かった。ミサキは悪魔が迎えに来るのを待っている。自分の翼を、光を奪った相手を待っているのだ。
「来るもんか。あいつらは天使の心を奪うのが役目だ。堕ちた天使を顧みるものか」
一人では飛べないよう、枷を付けた。手足すら動かせない状態のミサキは、静かに俺を振り返る。動く度に、首の輪までが音を立てて痛いだろうに。
「そんなことはないよ。迎えに来てくれる」
天使であった時よりも、鮮やかで切ない微笑みに、心が掴み取られる気がした。胸の中で音を立てた何かを、見たくはなかった。
(つづく)
拍手ありがとうございます。 今、2時前です。眠いです。
拍手お礼: さくら様。いつもありがとうございます。 熊温泉、好きなんですよ。気に入って頂いて嬉しいです。 後は明日そちらで。
拍手のみの方もありがとうございました。励みになります。
おやすみなさーい。
from past log<2009.4.22>
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック
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