※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。 最終回です。 翌朝、食堂に現れた対照的な二人の姿に、薄々関係を知る者は岬に激しく同情し、そうでない者は岬を気遣った。 「わかるわ、若林と一緒やったら、心が休まらんわなあ」 「岬、辛いことがあったら、俺に言えよ」 「大丈夫だよ、あんまり人と一緒に慣れてないから」 気遣う早田と松山に向けられた笑顔には憂いがあり、どことなく艶がある。一方、その隣にいる若林の方には、訳知り顔の二人が立ちはだかる。 「若林くん、頼むから岬くんを壊さないでくれたまえ」 「お前とは違って、チームの要なんだからな」 「何だと、若島津!お前こそゴールは俺に任せて、FWに徹しておけよ」 三杉と若島津のタッグに、若林は露骨に顔を歪めた。したり顔に岬を気遣っている早田にも腹が立つ。そもそもあの手錠が悪いのだ。何をしても、腕から逃げられない岬の表情や、細い手首に絡みついた手錠の音に、興奮が増した。 「そのニヤけ顔、本当にむかつくな」 「何だと、若島津!」 鎖を隔てるだけなのに、二人を取り巻く温度差は激しい。 「岬、飯食べさせてやるよ」 岬の手を引っ張る松山に、若林は手錠を引っ張り返した。 「ちょっと、若林くん、痛いってば」 「飯くらい、俺が食べさせてやる」 普段、他の連中に岬を独占されている恨みからか、若林は岬を誘導すると、さっさと食堂の隅に座ってしまった。 「森崎、悪いが、飯持って来てくれ」 そこで、躊躇なく人を使う辺りが若林である。森崎も何の疑いもない表情で、プレートを二つ運んでくる。 「森崎くん、ごめんね」 「困ってる相手に手を貸すのは当たり前だぜ」 爽やかに頷く森崎に、更に良心の呵責を感じながら、岬は左手でスプーンを取ろうとしたところ、若林は先に手に取ってしまった。 「食べさせてやるよ」 「良いよ・・・」 困惑気味の岬に、若林はスプーンを突きつけた。 「ほら、口開いて」 「そんなに入らないよ」 「大丈夫。しっかり飲み込めよ」
「早田、早く鍵を用意してくれよ。うざいから」 「・・・そおやな。ほんまそう思うわ」 反町の言葉に、早田は心から頷いた。そして、周囲の居たたまれなさを解消する為に、前非を悔い、一刻も早く鍵を用意することを誓ったのであった。
(おわり)
拍手ありがとうございます。 昨日のパートと比べて長いのですが、中身は・・・薄いです。 よく考えたら、久しぶりの連載でした。(前後編はありましたが) ここまでお付き合いいただいてありがとうございました。
小ネタに終始した手錠話でしたが、萌え話はきっと銀月星夢様が書いて下さると思います。(私の願望です)
from past log<2009.4.15>
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック
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