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今日のきみとぼく
源岬への愛だけで構成されております。
束縛(2)
※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。
昨日の続きです。

「岬、ごめんな。すぐ手配するしな。大阪からやしすぐやわ」
早田が岬の手首を見る。白く細い手首に黒い手錠が食い込んでいるのは、こういう事態でなければ、どきっとするような光景であり、何人かが無意識で唾を飲み込んだ。
「うん。お願いするよ」
早田は手錠の鍵を持って来てはいなかった。やたらと手錠をじゃらじゃらさせるので、親に隠されたのを忘れていたのである。大阪から送らせると言ってもしばらくは不自由をかけてしまうだろう。そう思うとすぐに言葉が出た。
「ほんまごめんな」
それにしても、岬を巻き込んでしまったのは、若林にとっても不本意としか言いようがない。
「頼むぜ、早田」
声をかけずにいられなかった。嵐の過ぎ去った気配に岬が安堵の息を漏らす中、若林は石崎を振り返った。
「石崎、悪いが部屋替わってくれ」
「ああ、いいぜ。お前らが一緒の方が都合が良いよな。遠慮なく使えよ」

 岬の部屋に戻り、ソファに座った若林は岬の手首を撫でた。あまり動いては、自分のように擦り傷がついてしまう。ここまで歩いてきただけでも、赤くなりかけている。その手首に抵抗なく唇を寄せる若林に、岬は戸惑ったように目を逸らせた。もう何年も付き合っていても、こういう如才のなさには、未だに慣れない。
「岬、タオル貸してくれ」
岬に手渡されたタオルを受け取ると、若林は岬の手首と手錠の隙間に挟んだ。
「ごめんね、若林くん」
「いや、助かったぜ。俺だけなら、放っておかれたかも知れないからな」
若林の言葉に岬が心配げにひそめていた眉を開く。
「それに、お前の手に傷、つけたくないから」
若林は左手だが、岬が拘束されたのは右手だった。自分の方が手が動かせるからと、若林は手錠を包むように巻いたタオルの端を収めた。
「ありがとう」
まだ恥ずかしそうな岬に、若林はそのまま肩に手をまわして抱き寄せる。
「良いぜ。二人になれたし」
実際、離れるといっても、そう離れることはできない。同じ合宿所にいても、そう一緒にいられる訳ではないので、こうして物理的に離れられないというのは、やはり嬉しい。
「ほら」
若林が左手を引くだけで、岬の体が引き寄せられた。乗り上げた形の岬の背中に、若林の右手がまわる。
「もう、若林くんったら」
「これくらいの役得があっても良いだろう?」
それでも、こうして結び付けられたのが自分であって良かった、と岬は思う。着替えもろくにできないこの状態である。他の相手だったら、と思うと穏やかならざる気持ちになる。
「・・・そうだね」
微笑む岬の頬を若林の右手がなぞる。手錠の先にいるのが、岬でなければ、ここまで安らかな気持ちにはなれなかった。ただでさえ自由を奪われた状態で、練習すらままならない有様なのだ。それで他の奴と仲良く談笑できる程、人間はできていない。それが、なかなか二人きりになれない合宿所で岬と合法的に二人になる機会を与えられたと思えば、笑みさえ浮かぶようだ。
「邪魔な石崎も追い出したし、な」
「ふふ」
こうして、二人で鎖に結ばれていても、いつもとそう変わらない。会話がなくてもお互いの鼓動や体温だけで安心して、側にいる。

(つづく)

拍手ありがとうございます。

一昨日の桜の落書き、妙に評判が良くて、嬉しいです。
そして、昨日の「週刊源岬」も。春だからすっかり色物づいております。

拍手お礼:
ユリコ様。いつもありがとうございます。
うちの近所は田舎なので、週刊源岬売っておりませんでした・・・。
「我慢熊」そんなにすごかったんですか!?どきどき。
私も買いに行こうっと?。

M☆様。いつもありがとうございます。
「日刊源岬」ですか?何か嬉しいです。
「我慢熊」この3文字で色々想像しちゃいますよね。私はやられました。

さくら様。いつもありがとうございます。
ネットサーフィンで変なものを見つけてくるの大好きなのです。
いつでも使って下さいませ。けっこう、楽しいですよ。
二人がつかめてきた、というお言葉ありがとうございます。
二人だけの話も楽しいですが、みんなでわいわいする話では特に性格がはっきりする気がします。後はそちらで。

拍手のみの方もありがとうございました。励みになります。

from past log<2009.4.13>
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック


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