※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。 「これ、すごいやろ?友達に餞別でもろたんやで」 「へえ、けっこう重いんだな」 「それに、何かごつくね?」 早田が悪友の餞別、という手錠を披露する。合宿所の付近も夜には治安が良くないというので、ご自慢の防犯グッズを部屋から持って来たのである。 「他にも色々あんねんで」 「・・・別に披露してくれなくても良いよ。あまり物騒な物の持ち込みは以後遠慮して欲しいね」 三杉が苦言を呈するものの、早田はどこ吹く風で、手錠をくるくるとまわして見せた。 「それで使えるのかよ?」 言ったのが若林でなければ、早田とてそこまでカチンと来なかったであろう。早くから海外に暮らし、見慣れているとでも言いたげな表情に、早田は口元を歪めた。 「そんなん試してみたらええやろ」
がちゃん。
激昂の後に続いた金属音に、周囲が目を剥く。黒っぽい鉄の環が若林の左手首に巻きついていた。
「お前っ!」 若林が立ち上がり、早田の襟首を掴むと、吊り上げた。額が付きそうなほど、睨みつける。 「鍵、早く出せよ」 「うるさいわっ」 「おい、やめろって」 「ちょっと、やめなよ」 周囲が慌てて、二人を引き離そうとするが、若林は早田の襟首を掴む手を離そうとはしない。 「早田くん、鍵どこ?」 素早く動こうとした岬だったが、早田は首を振る。 「そんなん、どこにしもたか忘れたわ」 その言い草に若林が更にヒートアップするのは必至だった。若林は床に叩きつけるように早田を離すと、左手の手錠を右手に掴む。 「それなら、お前も同じ目に遭わせてやろう」 若林が動く度に、鎖の音がする。それが奇妙な迫力を生み出して、合宿所で殺し合いはまずい、という集団防衛本能が働いた。 「わー、やめろ、若林!」 「若島津、そっち押さえてくれ!」 暴走を始めた若林を周囲が必死で押さえつける。さしもの若林も、若島津と松山、次藤の三人がかりで押さえられてはたまらない。それでも腕を伸ばして、早田の手首を掴んだ。 「駄目だよ、若林くんっ」 もう一度金属音がして、手錠が捕らえたのは、早田ではなく、それを庇った岬だった。
(つづく)
拍手ありがとうございます。 ネタ考え付かなかったので、この前に書いたのを。 「身も心も」よりはドタバタだと思いますが、これもうちのカラーかな?と。 続きます。
from past log<2009.4.12>
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック
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