※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。 ネタ借用すみませんっ! 何でこんなことになったのか、冷静に考えようとしたけれど、答えは見つからない。 「もう、降参か?」 からかうような口調に、諦めてやるものかとかえって闘志が湧いてきた。そして、僕は目の前の箱をもう一度手に取る。
カチャ
ナンバーを合わせたシリンダー錠は、空しい音を立てるばかりだった。弱って肩を落とす僕の右手は引き寄せられ、そのまま強い腕に絡みとられる。
「また、岬の負けだぜ。もう一回挑戦する?」
鉄製の手錠に拘束された僕の右手は、若林くんの左手に繋がっていた。自由な左手だけで若林くんに抗するのは全く無理な話で、僕は軽々と抱き上げられてしまう。・・・すぐ間近に若林くんの顔がある。男らしく整った顔は、何度見ても見慣れなくて、僕はまた吸い寄せられてしまう。 黙っていたら、若林くんの右手は僕の身体にまわってきた。シャツの中に忍び込んできた手に緊張してしまう。大きくて立派な手は、一見そう思われない程器用で、僕の張り詰めた心を簡単に溶かしてしまう。 「挑戦するなら、どうぞ」 若林くんはそう言って僕を弄んだまま目を閉じた。
もう一回挑戦するなら、キスを。
これがルールだった。
昨夜、若林くんと何かの話をしていた時に、ちょっと会話が途切れたことがあった。その時は何とも思わなかったけれど、朝起きたら僕の右手には手錠がかけられていた。 「ゲームしようぜ。手錠の鍵はこの箱の中に入っている。箱の鍵はシリンダーで、数字4桁だ。鍵は、俺の大切に思っている日だ」 そう言う若林くんの左手にも手錠が付いていた。僕の右手と若林くんの左手の間には、手錠の鎖のほんの僅かな距離しかなくて、僕はその眼差しから逃げることさえ叶わない。 「何言ってるのさ。ばかなことはやめてよ。これじゃご飯も食べられない」 「だから、ゲームだって。飯くらい食わせてやるよ」 ゲーム、とは言いながら、若林くんの口調も視線も、笑ってはいない。 「それとも、降参か?」 そう言われたら、逃げる訳には行かない。挑発だと分かってはいても、逃げるのは癪だった。 「まさか。それで、ルールは?」 「チャンスは一回」 「もし、外れたら?」 「あとは、挑戦したくなったら、キスしてくれ」
不利なルールだと思った。でも、1年は365日。最高366回ダイヤルすれば、ゲームは終わる。 「えっと・・・じゃあ」 まず僕がダイヤルしたのは、若林くんに好きだと言われた日だった。僕もその頃には好きで好きでしょうがなくて、気持ちの出口を探していた。与えられた言葉に、胸がつまって、すぐには言葉にならない僕を、ゆっくりと抱き締めてくれたあの日。
カチャ
シリンダーを動かして合わせたけれど、鍵は開かなかった。
「じゃあ、もう一回」 そう言った僕の手の中から、若林くんは箱を取り上げてしまった。 「挑戦する?」 このままじゃ動けない。ベッドの上で過ごす休日も悪くはないけれど、このままじゃご飯も食べさせてもらうことになってしまう。 「うん。挑戦する」 「じゃあ、キスしてこれ取って」 若林くんはゲームだと言っていたけれど、罰ゲームに近いのだと悟った。付き合ってももう長いけれど、未だに僕は自分からキスをするのには抵抗がある。恥ずかしくて、どきどきして、自分の鼓動に押し潰されそうになってしまう。 仕方なく、僕は目をつぶって、若林くんにキスをした。
(つづく)
拍手ありがとうございます。 クレスリウム王国さまで手錠の話が出て、書きたくてうずうずしていたところ、 読みたいと言って下さる方がいらっしゃって、そのお言葉に背中を押されてしまいました。 最初は合宿話で書いていたのですが、急にこちらに変更しました。
拍手お礼: さくら様。いつもありがとうございます。 泡、時間がかかったので、そう言って頂けると嬉しいです。 そして多分、洗うだけじゃ終わらないです(笑) 桜の素材は、素材リンクの中の「13-thirteen」さまよりお借りしました。 あんな素敵なのが自作できたら嬉しいんですけれど。 桜のお話楽しみにしておりますね。後でそちらに伺います。
連載?の方。コメントありがとうございます。 拍手で連載、顰蹙ものですが、どうぞお付き合いくださいませ。
本田様。いつもありがとうございます。 こちらこそ、いつも萌えやときめきをありがとうございます。大ファンです。素敵なイラストにも、楽しいコメントにも萌えエネルギーを補給させて頂いております。ジャックも毎回楽しみです。 バスルームへのコメントも嬉しいです。元の絵が可愛すぎたので、それに近づけようと頑張ったのですが…力及ばず。でも、可愛いと言って頂いて感謝です。 夜桜、は前回頂いたコメントに激しく萌えてしまって・・・その産物です。ありがとうございました。源岬には本当に桜が似合いますよね。逆に桜を見ると、源岬を思い出して、赤くなっております(笑) また、次の作品も、ジャックも、そしてみさPAも楽しみにしておりますv
拍手のみの方もありがとうございます。励みになります。
from past log<2009.4.9>
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック
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