fc2ブログ
今日のきみとぼく
源岬への愛だけで構成されております。
4月の魚
※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。

 どこまで気付かれていたのだろうかと思う。
「懐かしくなって」
と僕はちゃんと言えたはずだ。好きだとか、気になったとか、そんなことはおくびにも出さなかった。

 でも、こうして逞しい腕に抱き取られ、厚い胸に好きだと抱きすくめられると、やっぱり分かってしまったのだと怖くなった。

 頭を4月の魚、という言葉がよぎる。

 今は4月。
 この季節は稚魚が孵り、簡単に採れることから、4月の魚というと、騙されやすい、という意味だ。

 きっと、僕の想いに付け入られているだけだと思う。3年ぶりに会ったのに、想いがすぐに受け入れられるとは思わない。

 それなのに、僕を抱き締める腕は力強くて、見上げた瞳は優しくて、僕の勘繰りすら嘲笑うように、誠実に見えた。

 信じて、良いの?

 誰に問うて良いのかも分からず、僕は若林くんの腕を掴む。

「・・・お前は信じてくれないかも知れないが、俺は本気だ。ずっと岬が好きだった」

 若林くんはそう言って、僕の身体に廻した腕を強くする。苦しいような抱擁に、一瞬、抱き潰されてしまうんじゃないかと、錯覚した。その腕の強さがまるで、愛の強さみたいに思えて、息苦しいくせに、奇妙に幸せだった。

「苦しかったか?・・・すまん、自分でも歯止めが効かなくて」

 若林くんはそれから、そっと僕を抱き寄せた。慎重というよりは臆病な様子が似つかわしくなくて、信じられなかった。君は本当に僕を?


「岬・・・」
見上げた若林くんの目を見たまま、抱き締めてくる腕に手を添える。
「もっと強くても平気だから」
抱擁をねだるように、頭を預けた僕を、若林くんは本当に嬉しそうな表情で報いてくれた。

 騙されても良いと思った。僕は君に会いたくて、ずっと好きだった。

(おわり)

拍手ありがとうございます。
フランスのエープリルフールから言葉を拝借。
昨日は、石崎ブログのおかげで、すっかり忘れていたのですが、
拍手更新しました。「転校生」というタイトルで、続きものの第一話です。
・・・続くなよ。拍手入り口はこちら

拍手お礼:
石崎「いつも様、いつもありがとうなっ。
昨日は石乃湯に来てくれたらしいけど、俺が番台じゃなくて、悪かったな。
また来てくれよな」
今日は代理でした。

拍手のみの方もありがとうございました。励みになります。

from past log<2009.4.2>
スポンサーサイト



テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック


コメント

コメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する


トラックバック
トラックバック URL
→http://sukinamono11.blog63.fc2.com/tb.php/299-02746a81
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)