※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。
昨日の続きです。 以前に、ポッキーゲームをした時は、僕達の負けだった。 罰ゲームはチーム全員で腕立て伏せ100回。敗因は若林くんだったため、修哲メンバーは黙々淡々とこなしていた。当事者の一人としては、少し申し訳なかったくらい。石崎くんは当然文句たらたらだったのだが、妙に悟り澄ました顔の翼くんが怖かった。若林くんは申し訳なさそうに、でも妙に清々しい顔で軽々こなしていた。僕の分もやろうかと聞かれたけれど、それはやっぱり嫌で、僕は超高速でノルマをやり遂げたのだった。
それから、数年。また合宿で、またポッキーゲーム。そして、また若林くん。
「あんなゲームなんかでお前にキスしたくはなかったんだ」 初めてキスした時に、若林くんは言った。二人っきりの若林くんの部屋で、告白の後に合わせた唇は優しくて、それだけで幸せになれた。
今は二人きりではない。衆人監視の中、ポッキーを間に挟み、僕達は向かい合っている。 「今度こそ勝とうね」 言った僕に、若林くんは不思議そうな顔をした。 「お前、前も勝つつもりだったのか?」 「そうだよ」 答えてから、恥ずかしくなった。勝つつもり、ということはもっと唇が近付いても良いってことで…。 「岬」 若林くんの声が弾んでいる。そんなつもりはなかったんだけど・・・。 「勝つぞ」 力強く言い切った若林くんは少しだけ格好良くて、僕は差し出されたポッキーの端をくわえた。
こちらがチョコで甘くて美味しい。そう思っている内に、若林くんはずんずん食べ進めて来る。確かに本気っぽいなと思っている間に、若林くんは最後の部分に差し掛かった。いつの間にか廻した手でがっちりと僕の頭を固定すると、若林くんはそのまま僕の唇の間のポッキーまですくい取り、僕にキスした。まるでそちらが目当てのようなパワープレーに、恥ずかしくなってしまう。 周囲も静まり返っていた。応援してくれていたチームメイトすら、何も触れてくれない。 ちなみに同時に開始していた小次郎と松山のペアは、その瞬間に同時にポッキーを取り落としたらしい。相変わらずの息ぴったりぶりに感心する。 「南葛チームの勝ち」 三杉くんの冷静な声に、ようやく動くことを許され、僕はすぐに唇を離した。一瞬だけ忍び込んだ舌はチョコレートの味がして、甘くて美味しかった。そんなことを忘れるように、さっさと向きを変える。 「岬」 呼ばれて振り返ると、若林くんが笑っていた。 「勝ったな」 人前とか、そんなことを気にする様子もない若林くんの強さが、僕は時にうらやましい。自分に絶対的な自信を持つ若林くんだからこそ、できること。 「リベンジ成功だね」 わざとゲームに特化して答えると、若林くんは少し不満そうに唇を尖らせる。 「他に何もないのかよ?」 「今回は腕立て伏せ無しで助かったよ」 呟く若林くんに言い返したら、絶句された。 うそだよ。腕立て伏せ百回位たいしたこともない。非難の視線だって、今の方がきついくらい。
「人前だったんだけど」 通りすがりに、言葉を落とした。顔を上げた若林くんは、僕の腕を捕まえた。 「岬が勝ちたいって言ったのに、負ける訳にはいかないだろ」 不敵に笑う若林くんに、やっぱり敵わないな、と苦笑する。そんなことを言われたら怒れない。
「・・・勝てて良かった。ありがとう」 小さな声で囁いた。嬉しそうに笑う若林くんに、僕も嬉しくなって笑い返した。
(おわり)
拍手ありがとうございます。 昨日の続きです。数年後、の設定です。 今日もえらい時間になってしまいました。 もう沈没しそうなので、寝ます。
拍手お礼: いつも様。いつもありがとうございます。 旅行うらやましいです!何だかこちらのネタがかぶっているようですが、観察しておりませんので、ご安心を。 ポッキーゲームは合コンの定番ゲームです。楽しいかどうかは相手によります・・・。 岬くんは罪な子です。みさPAを見ていると、岬くんはみんなに愛されているのがよく分かります。
拍手のみの方もありがとうございます。励まされました。
from past log<2009.3.27>
スポンサーサイト
テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック
|