※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。
クレスリウム王国さまで、銀月星夢様のネタが面白くて、ついお借りしてしまいました。 ジュニアユース大会の合宿、の設定です。 「チーム対抗、ポッキーゲーム!」 すっかり司会と化した反町の声に、周囲が歓声を上げる。今日の紅白対抗戦は、南葛中とそれ以外、だった。俺と岬は南葛SC出身として、南葛チームに参加、結果は南葛チームの勝利で終わった。 ・・・というのが、一部には大いに不満だったらしい。皆から嫌われるよう演技中で、元々南葛市出身の俺はともかく、明和にもふらのにもいた岬が南葛チームというのはおかしくないか、と難癖をつけた。・・・黄金コンビにやられた、とは悔しくて言えない辺りが、奴らのプライドなのだろうが、それでクレームをつけるのは、度量が狭いぞ。 「みんな、落ち着いてよ。次は僕、そっちのチームに入るから」 「え~、岬くんがそっちに行くなら、俺もそっち行くよ」 「お前は来るな。って言うか翼が来るなら、俺がそちらへ行く」 ・・・のはずだが、少し目を離した隙に、事態は更に紛糾していた。岬とはどうしても離れたくない翼と、翼とはどうしても戦いたい日向が混じると話がややこしくなる。 「じゃあ、こうしよう。チームの誰もやったことのないゲームで決着をつけるのはどうかな、皆さん。ね?」 それを放っておけば良いのに、しゃしゃり出てきた反町が仲裁をした。巧みな誘導で、周囲が経験の差で圧倒されている間に、煙に巻いた反町はクジを差し出す。 「さあ、どうぞ」 反町に促された日向が恐る恐るクジを引く。そして、出たのが「ポッキーゲーム」だった。 「ポッキーゲームって何だよ」 日向の横の若島津が、日向の手にした紙を覗き込み、首を傾げる。 「ポッキーを両端から食って、残りの長さを競うゲーム。健ちゃん挑戦する?」 「男ばっかりなのに、そんな寒いゲームできるか」 「そうでもないよ、キャプテン、良いの選んだぜ。後はツイスターとか、野球拳とかだし」 「反町っ!」 若島津の怒声も何のその、すぐさま気を取り直した反町は、食堂の爪楊枝を手に取った。 「各チーム二人代表者。これで」 順番に引いた爪楊枝のうち、赤いのを引いたのは俺と岬だった。
「けっこう、緊張するね」 「ああ」 睨み合いながら、数センチを残して、ほぼ同時にリタイアした日向と松山に対し、後攻のこちらは少し余裕があるはずだった。それなのに、耳元で囁いた岬に頷いたものの、胸が痛い程、動悸がする。 「じゃあ、用意スタート」 反町の合図で、岬が支えていた手を離した。一瞬目を合わせて、かじり始める。ポリポリ、と歯を立てる音の向こうに、岬の顔がある。…10数センチの距離しかない。 岬は真剣な顔で唇を動かしていた。伏せられたまつげは長くて、まぶたの白さを一層際立たせる。きめの細かい肌が、薄い唇の色合いがはっきり見えて、俺に迫る。
キス、してしまえ。
俺の心で、悪魔が囁いた。このゲームはポッキーをできるだけ短くした方が勝ち。勢い余って唇が触れてしまったとしても、勝利の為には仕方のないことだ。だが。そんなことで、あのうっとりするような唇を奪ってしまって良いはずはない。それに、キスだけで、我慢できるのだろうか。 そう思ったら、たまらなくなり、俺は唇を離した。 「はい、そこまで」 三杉に言われて、岬はくわえていたポッキーを見せる。 「・・・残念。もう少しだったね」 そう言われても、不思議と後悔はなかった。あんな形で岬とキスをしてしまったら、きっと後悔したに違いない。 「案外情けないな」 「うるさい」 茶化す若島津をかわして、岬を盗み見た。あんな奴とキスしなくて良かったな、と誰かが言ったのが聞こえた。
あの時、俺が口を離さなかったとしたら、岬はどこまで許したんだろうか。知りたくて仕方なかった。
(おわり)
拍手ありがとうございます。 目次が容量オーバーではみだしておりました。 現在復旧作業中。・・・って、書き過ぎ? 書くペースなんかそう変わらないと思うので、せめて打率が一厘でも上がれば嬉しいのだけれど。
from past log<2009.3.26>
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック
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