※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。
昨日の続きです。 「Guten Tag」 予想通りに、今別れたばかりの相手の声が聞こえて、岬は神経を集中させた。 「・・・若林くん。時間は大丈夫なの?」 チェックインには予想外に時間が掛かることがある。心配そうに囁く岬に、若林は大丈夫だから、と優しく答える。事もなげに掛け合う若林に、かえって心配を募らせる岬だったが、確かに、日本からだとそう心配もいらないか、と思い返した。 「それなら、良いけど」 「電源落とす前に声聞きたくて、なあ」 若林の声に少し甘えるような響きを感じて、微笑んだ。いつも、自分が会いたいから、と理由をつけてくれる若林の優しさには、救われている。 「若林くん、気をつけてね」 「ああ」 「また会いに行くから」 「待ってるぜ」 「うん。じゃあね」 「またな」 名残惜しそうに続く言葉を押し止める。油断をすれば、堰き止められなくなる言葉を、意識して止めた。電話を切り、息をついた岬であったが、その身体に緊張が走る。後ろから掴まれた肩に、自分がいかに無様に立ちつくしていたのかを思い知らされた。 「・・・若林くん」 見下ろす眼差しはいつも通り熱っぽく、肩を抱く腕は力強い。 「声聞いたら、たまらなくなった」 衝動よりも計画性の強い犯行であったが、いかにも若林らしい気がして、岬は微笑んだ。また遠くに離れるのが耐えられない位、一緒に過ごした。 「僕も」 呟いた声がいかに甘かったか岬が自覚する前に、唇が奪われた。人目を気にすることもなく、顎を持ち上げるように、激しく奪われるキスに、岬の頬がみるみる赤くなる。 「・・・これ以上したら、耐える自信ないから」 唇を重ねた勢いとは裏腹に、離されたのは紳士的だった。もう一度後ろから抱きしめると、若林は微笑む。 「また、な」 「また、ね」 声と気配が遠ざかるのを、お互い振り返りもせずに、歩き続けた。振り返ったら、淋しさが募るのは必定で、後ろを見ることは出来そうになかった。 もっと近くに。口には出すことのない思いが、どれだけ自分を支えているのか、岬はよく知っている。 前方に、石崎の姿を見つけ、岬は一瞬目を閉じてから、足を速めた。
(おわり)
拍手ありがとうございます。 クレスリウム王国さまに押し付けたキス絵の大きいバージョンです。 ここに繋がる訳です。 銀月星夢様にはいつもご迷惑のかけ通しで、毎度こういう企画の度に巻き込んでおりますが、またやりたいと思います。すみません。
拍手お礼: いつも様。いつもありがとうございます。 硬派なイケメン素敵ですね。岬くんと会わなかった若林くんはそんなイメージだと私も思います。岬くんは一言では語り切れません。
拍手のみの方もありがとうございました。励まされました。
from past log<2009.3.23>
 
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック
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