※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。
本日も xxx-titlesさまよりお題をお借りしています。 お題一覧はこちら 「なあ、岬」 石崎に突かれて、岬が振り返ると、石崎は女性用アクセサリーのカタログを手に、うんうん唸っていた。 「どうしたの?」 そんな石崎見たことはない。一瞬戸惑ったものの、彼女のことを連想して、なるほど、と岬は思った。 「ゆかりちゃんにお返し?」 「そうなんだよ、岬。バレンタインに手作りチョコをくれたんだぜ。その志に応えねえと男がすたるってもんだろ?」 ノロケと自慢半分に、少しだけ虚勢が見える石崎に、岬は微笑みながら隣に座った。 「それで?」 「岬はこういうの詳しいと思ってさ。アドバイスしてくれよ」 「そんなことないよ・・・」 決して謙遜ではない。岬は異性と付き合ったこともなければ、特別の友人も作ったことがない。アクセサリーを贈るような異性といえば、母くらいのものだ。 「だって、今までの彼女とかどうしてたんだよ?」 そう聞かれて、岬は言葉に詰まった。降るような数のファンレターやプレゼントに感謝はしつつも心を動かさない様子に、周囲が彼女持ち認定をしてくれていたのはありがたかったものの、こんなところでツケを払うことになろうとは。 「そうだね・・・ゆかりちゃんならカジュアルだし、こういうペンダントが良いんじゃない?」 答えに窮しながらも、宝石ではなく、シックなデザインのペンダントを指した。石崎の予算とデザインに妥協点を見出した結果である。 「おおっ確かにそれならゆかりも喜ぶな。岬、ありがとうよ」 喜ぶ石崎に、何とか急場はしのげたらしいと岬は胸を撫でおろした。これならば、ゆかりとて身に着けてくれそうな気がする。 「やっぱり岬は頼りになるな。お前の彼女って幸せだろうな」 「・・・急に何言い出すんだよ」 人気スポーツの選手でありながら、華やかな周囲に比べて、圧倒的にもてないコンプレックスを抱いていた石崎だが、人の恋愛話には目がない。 「傷つかないんでしょうかね、人の話をしたって空しいだけでしょうに」 対照的にファンクラブまであった後輩の新田の言だが、石崎自身はそうでもないらしい。要するに他人の幸福も好きな性質なのだと、自身がそういう性質である岬は好意的に解釈している。が、岬には自分の幸福、にまでは立ち入って欲しくない理由があった。 「だって、気になるじゃんか。お前、高校の頃にはもう付き合ってる相手がいただろう?」 君のよく知っている人です。しかも、僕よりも付き合い古いです。そうは言えずに、岬は沈黙した。あまり隙を見せない岬の頬が、僅かに桜色を帯びる。その一瞬の艶めいた表情が、岬の秘密を雄弁に語っていることを、岬は気付いていない。 「いないよ、そんな相手」 その名を口にするだけで、思いを馳せるだけで、甘い感情が湧き上がる。たったそれだけで、幸せになれる気がする。 「嘘つけ。大体お前はいっつもそうなんだよな!・・・水くせえっての」 石崎のからかう口調には、少しだけ寂しげな色合いが混じっていて、岬は微笑んだ。心配してくれているのも、寂しく思われているのも分かっているけれど。
この思いを口にするのは、まだ、怖い。
「あはは、そんなんじゃないよ。君が言うほど僕もてないし」 「ぅわ~むかつくっ!お前、それ今度暴露してやっぞ。苦情が山ほど来るぜ」 「うわっ、それひどすぎない?」
忍ぶれど色に出にけりわが恋は ものや思ふとひとの問ふまで
(おわり)
拍手ありがとうございます。 ホワイトデーににやける石崎くんが書きたかったのです。そして、着地点を見失いました。仕方なく百人一首から平兼盛の歌を。まんまですみません。七ヶ月目突入第一回の更新にしてはしょぼしょぼです・・・。 ホワイトデー企画自体は明日に。
拍手お礼: さくら様。いつもありがとうございます。 ペンタブないので、マウス塗りです。線もマウスで直しております。 マウスもマウスパッドも8年モノ。本人含め、老兵トリオで頑張っております。えへ。後はそちらにて。
拍手のみの方もありがとうございます。励みになります。
from past log<2009.3.12>
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック
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