※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。 「岬?」 ニコニコ機嫌の良い若林くんが携帯を向けてくるのに気付いて、慌てて着替えを羽織った。 「ちぇっ、つれないな」 ひとりごちつつも、まだ愉快そうな表情に、どう対処したものか、途方に暮れる。 「だってさ、こうやってふざけ合ってたら、学校のクラブみたいな気になるだろ?」 神妙とは言えない内容だったけれど、身につまされるようで、何だか切なくなった。僕の話す南葛高校は楽しそうだった?君はどんな気持ちで聞いてた? 「おっとストップ。そういうつもり、じゃないぜ。お前のいる学校ってちょっと良いな、って思ったから」 同じチームで戦っていたのに、若林くんとはついに同じ学校に通うことはなかった。 「僕も、そう思う」 他の誰でもなく、その若林くんと一緒にいることは、すごく不思議な気がするけれど、離れても遠くても、共鳴すると思えるのは、君だけだった。 「俺が宿題忘れたら、隣の席の岬が見せてくれてな、お昼には岬のお手製のお弁当で、セーラー服の岬と中庭で二人で食べて」 「なに、恥ずかしいこと言ってるの!」 その、恥ずかしいことを呟く若林くんの口調はあまりにも幸せそうで、僕はつい当てられて赤くなってしまった。それは冗談にしても、隣に若林くんのいる学校生活は本当に楽しそうだと思う。だって、高校時代、部活の時も、試験勉強の時も、下校途中の寄り道も、君が一緒だったらな、なんて僕の方こそいつも思っていた。 「それでな、帰りは手つないで帰って、別れ際に公園でキスするんだぜ」 「・・・ばか」 そんな毎日だったら、僕は心臓がどうにかなってしまうかも知れない。毎日ドキドキするなんて、身がもたないと思う。 「部室や教室でも、キスして、お前に触るの」 そんな冗談の最中も、若林くんの体温は僕の鼓動を早鐘に変える。後ろから抱き締めてくる若林くんの腕に、高まった鼓動を知られてしまうんじゃないかと思う。こうして、時々会うだけでも、僕が僕じゃなくなる気がするのに。 「でも、こうしてたまに会うだけでも幸せなのは、お前だからだな」
「って、何撮ってるのさ」 座って話していると、急に携帯のカメラの音がした。慌てて携帯を奪い取ろうとする僕に、若林くんは保存したばかりの画面を見せてくれる。 「だからさ、せめて。携帯開けてお前が笑ってたらな、なんていつも思ってるんだぜ」 若林くんの部屋をバックに映っている僕の顔は、頬を染めて幸せそうに笑っている。悔しいけれど、君の言う通り。君は誰よりも特別です。
(おわり)
拍手ありがとうございます。 某ゲーム風に描いたイラストと合わせてUPしました。 完全に自分だけ楽しいおふざけすみません…。
拍手お礼: さくら様。いつもありがとうございます。 暗くなかった、とのお言葉ありがたいです。まあ、あれに比べたら。 花だらけの病室は、とても華やかで、二人の逢瀬の背景としてはなかなかだと思います。
拍手のみの方もありがとうございました。励まして頂きました。
from past log<2009.3.7>
スポンサーサイト
テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック
|