※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。 「若林くんって、タバコ吸うんだね」 岬に言われて、初めて灰皿を出しっぱなしにしていたことに気付いた。 「ああ。時々な」 スポーツマンにあるまじき悪癖、と言われても仕方ないが・・・昔ほんの短い間付き合った女から教わった習慣は未だ抜けずにいる。 「へえ・・・知らなかった」 岬の前では吸わないことにしていた。最初こそ気付かれないように、と思っていたが、岬に会う時には自然とタバコのことも忘れるようになっていた。 「口が淋しいから、な」 そう言って唇を求めた俺に、岬は向き直って姿勢をただすと、真っ正面から俺の顔を見つめた。 「やめた方が良いのは分かってるよね?」 怒った時の岬の顔も、結構好きだ。普段は人懐っこい笑みに紛れている、岬の綺麗な顔を意識させられる。 「岬がいる時は我慢できるんだぜ」 この申告が真実なのは岬が一番よく知っている筈だ。タバコの臭いのするキスを、岬が嫌がることは分かっていた。 きっとお前が側にいてくれれば、タバコなんて必要ない。 「じゃあ、僕がいない時ももう吸わないで」 岬に手を掴まれるとは思ってもみなかった。俺の手を握り、真剣な眼差しを向ける岬に、息が止まりそうになる。 「ねえ、約束して。長生きするって」 ふっと力が抜けた。こんなに案じられ、愛されているとは思わなかった。俺が感動していることも知らず、岬の声は更に哀切を帯びる。 「お願いだから」 もう、やめることにした。それほど執着があった訳でもない。量は過ぎない程度だし、何か物足りない時の悪習に過ぎない。 「そうだな・・・口が淋しい時にキスしてくれるなら」 意地悪く笑う俺に、岬は俺をじっと見つめた。茶色の深い瞳を揺らしながら、岬は俺の頬に手をかける。 「みさ・・」 言いかけた俺の口を、物も言わずに優しく掠めたのは、柔らかい感触だった。岬からキスをしてくれるなんてないことで、それだけでも岬の諌言の必死さが伺える。 「約束」 なおも名残惜しい俺に、唇を離した岬が念を押す。こんなに嬉しいサプライズがあるのなら。当分タバコを吸うふりをやめられそうにない俺だった。
(おわり)
拍手ありがとうございます。 同人誌の若林くんは時々喫煙。岬くんが吸っているのは裏表のある描かれ方か、ギャグか。個人的には絶対吸わないと思います。そして、若林くんの喫煙も止めそうだな、と。まあ、それだけの話です。
拍手お礼: さくら様。後程伺います。すみません。
拍手のみの方もありがとうございます。今日は更新しないつもりでしたのに、つられちゃいました…。
from past log<2009.2.27>
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック
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