※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。
昨日の 「そういう本」と対です。(こちらを先にお読み下さい)(「こういう本」→「そういう本」の順で) 三年ぶりに会った若林くんは、大きく逞しくなっていたけれど、不思議と印象は変わらなくて、僕は思わず笑ってしまった。それを指摘したら若林くんはお前こそだ、と笑った。そして、ずっと好きだった、と言った。 そう言う若林くんの顔は、やっぱり自信にあふれていて、特に目は輝くようで、僕は気がついたら自分もだ、と言ってしまっていた。 それから、こんな風に時々遊びに来ている。好きだ、と言う若林くんには本当はまだ慣れないでいる。だから、僕はこの本を見つけた時に、若林くんがどんな顔をして読むのだろうか、そんなことが気にかかった。僕を見る時みたいに、少し目を細めて、熱くて酔いそうな視線で、見るのだろうか。本だけじゃなくて、他の女の人、にも。 めまいがした。 「岬、どうかしたのか?」 「ううん・・・若林くんもこういう本読むんだね」 何となくごまかした。認めたくはないけれど、苦しい事実に気がつく。 「ああ。俺が寂しいだろうからって、スティーブの奴が置いて行きやがった」 若林くんは何気なく言ったつもりかも知れないけれど、その言葉は彼がこの極彩色の世界に身をおいていたことを示していて、僕は無意識に唇を噛んだ。 「・・・そうなんだ」 「俺はいつもカタブツで寂しい奴扱いだ」 ふざけて笑う若林くんの言葉にも、笑い切れない。こういう雑誌に縁がなかった代わりに、美術館で色々な絵を見た。それだけで芸術になりうる女性と比べると、男の裸はストーリーを負わなければつまらないもの同然だった。それをよく知るだけに、こうして一緒にいるようになっても、好きだと言われても、何か負い目を感じずにはいられない。 「そんなに寂しい思いをさせてるんだ・・・」 こうして抱き締められても、味気ない僕の身体を、恨まずにはいられない。ため息混じりにこぼした僕に、若林くんはそっと耳打ちした。 「そんなことはないぞ。俺がどれだけお前を好きか、誰も知らないから」 若林くんの広い胸に包まれて、優しい視線を感じる。それは悔しい位に暖かくて優しくて、僕は屈服せざるを得ない。君の言葉は僕の警戒も臆病も、簡単に取り払ってしまう。 「でも、もう少し会えると嬉しいんだが」 ぼそぼそ、と呟く若林くんが何だか可愛らしくて、僕は無駄な抵抗を諦めた。抱き締めてくれている腕を、自分の胸にかき抱いた。 「じゃあ、洗濯が終わったら、ゆっくり、ね」 若林くんを見上げる自分の声が、まるで別の人の声のように思える程、緊張しながら言った。
気付いてしまったから。
僕は、悔しいくらいに君が好きです。
(おわり)
ところどころ違うのは、主観、だからです。と、言い訳・・・。
from past log<2009.2.24>
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック
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