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今日のきみとぼく
源岬への愛だけで構成されております。
携帯電話 (下)
※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。

昨日の続きです。


 松山と岬が、帰ってこない、という話は、松山の友人達によって、遭難したらしい、に変化した。自宅の方に岬を連れ帰る、と言いながら、いつまでも帰らないのに心配した友人が手配したところ、国道近くに乗り捨てられた四駆を発見したのである。携帯もつながらないため、雨がやんだら様子を見ようということになった。
 その間に、松山と岬が行方不明になったニュースは、コンサドーレの選手とすすき野で遭遇した石崎を経由して、色々配信されていた。
「こんな時間まですすき野で飲んでるんじゃないわよ」
というゆかりからのメールに
「そんなことはないぜ。松山と岬が行方不明ってんで、心配してそれどころじゃないから」
と返信したのが、南葛ルートで駆け巡った挙句、最終的にはヨーロッパの若林まで届いてしまったのだから、情報社会の発達には侮れないものがある。

 松山と岬が山から下りてきたのは翌朝だった。雨がやみ、明るくなったところで、一気に山を下りて来たのだった。
 そして、下山して来た二人を出迎えたのは、小田と金田だった。ちょうど携帯がつながったところで、小田からの電話が松山を無事捕まえたのであった。
「藤沢一晩中泣いてたぜ」
言われて、一目散に駆け出す松山に、友情もかたなしだ、と岬は二人に微笑う。そして、迎えに来た二人に礼を言った後、電波を確認して、メールを打った。
「おはよう、元気?昨日すごいことがあったんだよ。またメールするね」
打って送信した直後に鳴り響く着信音。
「はい」
小田と金田からダッシュしてから電話に出れば、電話の向こうから聞こえる声は予想通りで、岬は反射的にダッシュした自分の判断力に感謝した。
「大丈夫だったか!?」
予想以上におおごとになっていたらしい。困惑する岬に、若林の言葉は続く。
「うん。元気だよ。ちゃんと電話通じてるでしょ?」
「そうか、良かった。それと、お前、松山と一緒だったんだろ?」
「そうだよ。それで、眠くならないように、古今東西サッカー選手の名前、やったり、大変だったけど」
「いや、そうじゃなくて・・・触られたりしなかったか?」
「それも大丈夫。ノロケは随分聞かされたけど」
電話の向こうに聞こえる、安堵したようなため息に、何だかほっとした。・・・松山のことを言えない。自分も友情かたなし、だと岬は若林を宥める自分を自己批判した。
 それに加えて、恋人はすごい美人と推測されてしまうのも、仕方ない気もする、と岬はうっすら赤くなった頬を撫でた。男が猛スピードで携帯を抱えて走っていたら無理もない。
「大丈夫だから。また連絡する」
誰に聞かれている訳でもないのに、わざとぶっきらぼうに電話を切ってから、岬は携帯電話を抱き締めた。時差があるくせに、ずっと携帯を近くに置いていた相手のことを考えると、会いたくて仕方なくなった。

 こうして岬は、自分がどんな表情をしているかに気付かず、せっせと噂を広めているのであった。

(おわり)

拍手ありがとうございます。
このラストシーンが書きたくて続けました。
夢では、この古今東西の部分を見たので、最初はそれを書いたのですが、
源岬に方向転換して、携帯を抱き締める岬くん。
メール受信したら、きっとすごい件数入っていると思います。お疲れ!

拍手お礼:
さくら様。いつもありがとうございます。
「回転宮・緑」読み返しました。なるほど。確かに。
源岬では、大傑作を書いて、やった!と思って目が覚めたことがあります。
どうしても、書いていた話が思い出せなくて、一日無念でしたよ。
後はそちらで。

M☆様。いつもありがとうございます。
バレンタインはチョコレートフレーバーの岬くん、でした。
山小屋の二人は、とても楽しく長話ができたと思います。
源岬に変えちゃったので、その部分を削ってしまいましたけど。

拍手のみの方もありがとうございました。励ましていただきました。

from past log<2009.2.17>
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック


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