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今日のきみとぼく
源岬への愛だけで構成されております。
携帯電話 (上)
※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。

初めての前後編。1回に収まらなかっただけですが。
「すまないな、岬。俺が誘ったばっかりに・・・」
「ううん、松山のせいじゃないよ。・・・お互いに車とは相性悪いね」
松山の言葉に、岬は首を振る。札幌コンサドーレとの試合の後、富良野に寄ることにして、松山の車に乗って、道央自動車道を通って。問題はその後だった。国道が事故で塞がっていたので、わき道に入ったところで、車が動かなくなったのである。しばらく待ってはみたが、他の車が通りそうな気配もない。
「どうする?とりあえず、電波のあるところまで戻るか?」
富良野まであと30kmはある。札幌までは100km以上。行くも戻るも大変なのは確かで、電話の通じるところに移動するのは必要だった。
「うん。そうしよう」
とはいえ、二人ともサッカー選手である。足腰はめっぽう強い。ずんずん歩く松山に岬が続く形で歩いた結果。
「松山、道間違ってない?」
「俺も、そう思う」
どうやら高所に出たことに気付いたのは、遅すぎたようだった。
「電話・・・通じないな」
「うん。とりあえず、戻る?」
かれこれ、数十分は歩いている。果たして正しい方向に戻れるかはともかく、下山する方が間違いなさそうだと、岬が松山に言った途端、松山が足を止める。
「岬・・・走れっ!」
雨が追いかけてきたのはすぐ後だった。

「岬、大丈夫か?」
「松山こそ」
濡れ鼠、というのがふさわしい格好の目の前のJリーガーに、二人は顔を見合わせて笑った。もう10年来の友人だが、一緒にいた時間はごくわずかだった。それなのに、ふとした瞬間、あっという間に10年の時が戻ってしまう。
「それで、どうする?何とか、屋根はあるけど」
山小屋らしいのに退避したものの、服はずぶぬれで、髪さえしぼるまでもなく、水滴がしたたっている。
「とりあえず、ストーブを点けてみる」
松山がストーブに取り掛かっている間に、岬はジャケットを脱ぐと、比較的濡れなかったTシャツ一枚になって、小屋の中を歩き回り、毛布と缶詰を調達してきた。
「ストーブ、点いた?」
「点いたが、あまり長持ちしそうにないぞ」
「じゃあ、先に服乾かそう。服乾いたら、寒さもマシでしょ」
雰囲気が違う、と松山は思う。サッカーをしていない時の岬は、穏やかで優しい。いつもグラウンドで会うことが多いせいで、そういう岬を実感したのは久しぶりで、何気に濡れた髪を乾かす仕草にも、色気がある。
「松山も乾かしなよ。毛布あるし、二人でくるまっちゃえば寒くないよ」
「・・・俺、下着一枚なんだが」
「僕もそうだけど」
平然と言う岬に、松山は少し胸を押さえながら毛布に入った。男の岬とこうして毛布に包まったとて、恋人の美子が何か思ったりすることはないだろう。それでも、昔から可愛いと思っていたチームメイトと裸で二人きりなのは、何故か後ろめたい。グラウンドで岬を可愛いと思ったことはない。頼りがいのある、それでいて儚い背中は、印象的だった。
「岬の方は恋人、とか良いのか?」
岬の恋人の話は、誰も聞いたことはない。それでも、携帯のメールを読む時の表情など、ふとした拍子に、恋人の存在を匂わせる。それは色っぽい顔をしている、と合宿所でも噂になったほど。
「うん。心配はすると思うけど・・・。その為にも頑張って帰らないと、ね?」
一瞬伏せられたまぶたの白さに、長いまつ毛に落ちたままの水滴。顔を真っ赤に染めた松山は、岬をじっと見つめる。
「そんなの、俺がその気になったら、どうするんだよ」
狭い毛布の中、細身とはいえ、二人で入っている以上、本当にくっつかんばかりの状態である。
「松山はそんなことしないから、大丈夫」
きれいだけど、強い微笑を向けられて、松山は黙った。確かに、危険な相手とこんな真似をするくらいなら、岬は濡れた服でじっとしているだろう。岬に信頼される方がありがたいに決まっているので、松山は安心して背を伸ばした。
 それにしても、と松山は思う。さっき一瞬だが岬が恋人のことを思ったのが分かった。とても正視できなかった。元々可愛かったけれど、あんなに強くてきれいな顔をさせる恋人って、どんなんだよ。
「岬」
「ん?」
「無事帰ったら、お前の恋人紹介してくれよ」
「えっ、ごほごほ」
急にむせた岬の背をさすりながら、松山は岬を夢中にさせた恋人と会うのが楽しみになった。
「松山・・・」
そして、岬はそんな松山の表情を見ながら、自分の恋人が松山もよく知る人物であるとはとても言えなかったのであった。

(つづく)

拍手ありがとうございます。
夢で見た松岬をアレンジしてみました。
夢の中では、もっとハデにいちゃついてくれていたのですが、
私が耐えられなかったので。源岬前提で、くっついてもらいました。(物理的に)
明日に続きます。

拍手お礼:
さくら様。いつもありがとうございます。
また、えらいところに反応いただいてしまった・・・。
実在の選手はカーン。ハーンは、C翼に登場。GOLDEN-23の1巻で
W杯テストマッチで、日本と対戦しています。ちなみに・・・似ていません。
だから、ここでもハーン、にしました。色々難しいですけれど。

拍手のみの方もありがとうございます。励まされました。

from past log<2009.2.16>
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック


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