※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。 「岬くん!」 「三杉くん。ビデオ、見てくれた?」 「うん、見たよ。ペッケンバウアー、松山が好きなのは知ってたけど・・・あれは知らなかった」 「僕も。でも、三杉くんと僕ならできるよね?」 「やろうよ」 「って、何だよ、二人で世界を作んなっ!べッケンパウアーに先に目をつけてたのは俺だぞ」 すでに合宿何日目か分からない3M。三杉と岬はべッケンパウアーの話題で盛り上がっていた。べッケンパウアーは元ドイツの選手で、皇帝と呼ばれた名リベロである。そして、その彼が所属していた時代の西ドイツで最強と言われるのが、賢人と呼ばれたゲームメーカーのネッツァーと交互にポジションチェンジを行い、ゲームメークをしたチームだった。常にゲームを支配する感性を持つ技巧的な名リベロと、パスを変幻自在に操るゲームメーカーという組み合わせは、全日本では三杉と岬の目指すところだった。 「でも、よくこんな古いの見てたね」 べッケンパウアーの軌跡、というタイトルのDVDに、三杉が感心する。 岬から連絡を貰って急遽取り寄せた。休暇日に持ってきた弥生と二人で見て、それは興奮した。岬が是非見るようにと言っていた理由は明白で、合流するなり、松山そっちのけで岬に走り寄り、話さずにはいられなかった。 「うん。ちょっと」 言いよどむ岬に、三杉と松山が奇妙な顔をする。だが、岬としては言いよどむよりない。 その前の休日、岬は若林といた。福島に来てしばらく経つため、観光も飽きたし、ゆっくりしたい気持ちが先立って、DVDを見て過ごそうと提案したのは、岬だった。まだべたべたし足りない若林をよそに岬が見たのは、べッケンパウアーの軌跡に、オリバー・ハーンの名シーン集。編集されたものより、一試合まるまる観る方が良いと言いながらも、結局必死で観てしまい、かなり興奮した。皇帝とネッツァーのプレーは特に興味深く、三杉と練習してみようかと岬は真剣に考えた。 岬の折角の感動をぶち壊したのは、二枚目のDVDのエンディング、オリバー・ハーンの歌だった。流行していた時は聞き流していたとはいえ、その歌詞は十分インパクトがあった。 「何、あれ・・・」 「胸、腹、太もも、って歌詞はないよな」 若林はニヤニヤしながら、それを繰り返すと、岬の身体に手を伸ばす。 「胸、腹、太もも…」 「やっ、もう、やだっ」 少々暴れてもウェイト差は大きい。軽々と抱き込まれて、ソファーに倒されてしまう。 その結果、DVD鑑賞は二本だけに留まった。それでも、岬にとって実りの多い休暇だったのは確かだった。根っからのサッカー好きの岬の為に、DVDを用意したのは若林だったし、エンディングはともかく、オリバー・ハーンのDVDは若林自身の参考にもなったことだろう。 岬をドキドキさせることも、のんびりリラックスさせることも、簡単にやってのける若林でなければ、こう長く続かなかったことは岬自身が一番よく知っている。若林といるようになって初めて、誰かといる時に、自然に呼吸することを覚えた。大人でもなく、子供でもなかった岬に気付いて、そのままで良い、と言ってくれたのは若林だった。
「特に若島津がFWにまわっている時は、岬くんがリベロも面白いよね。GKとの連携もスムーズそうだし」 「三杉くんと若島津のコンビプレー、すごく見てみたい!」 「お前ら俺を無視するなよ」 三杉や松山と話しながら、岬が向けてくる柔らかい視線に気付いて、若林は微笑する。自分の腕の中で可愛い岬はもちろん好きだが、サッカーをおそらく自分より愛している岬のことも好きだった。サッカーの話をする時の岬の目はきらきらと輝いていて、嫉妬すら追いつかない。それ自体が宝石のように思える程、きれいだと思う。 「サッカーのこと考えている若林くんも好きだよ。いつもより何割か増しに格好良い」 「え?いつも格好良いの間違いだろう?」 お前だってそうだぜ、と笑って抱き締めた。一緒にいながら、サッカーをして、サッカーをしながら、お互いのことを考えるのは、まるで三角関係のよう。 戦いたい、と以前岬は言った。容赦しない、と若林は答えた。色々あった今も、岬がそう思っているかは分からない。ただ、今一緒に戦えるのはまるで奇跡のような時間で、お互いのサッカー人生の中でも、もう二度とないかも知れない蜜月。 「付き合うぜ、練習」 追い越しざまに言った若林に、岬は驚きながらも嬉しそうに微笑んだ。
(おわり)
拍手ありがとうございます。 ネタ話ですみません。元々、将棋、の前振り話だったのですが、3Mを書きたくて。皇帝の名前は検索避けしておりますが、興味ある方はどうぞ。この二人のプレーを三杉&岬の2Mで!と妄想しただけで幸せです。復活三杉くんの華麗なテクニックも良いですが、リベロの岬くんと若林くんの連携も、考えただけでもう・・・。めちゃくちゃテクニカルで、堅いディフェンスラインだと思います。
拍手お礼: H様。いつもありがとうございます。 拍手文の感想ありがとうございました。今回は、以前頂いた「脳内で」というお言葉をヒントにさせて頂きました。いつも頂く感想に励まされたり、嬉しくなったり、ヒントを頂いたりしております。今回は「本気の純情」の言葉に、やられてしまいました!まさに二人の想いの詰まった一言だと思いました。それに引き換え・・・あんなオチですみません。いつか二人を本当に幸せにしたいとは思っています。
さくら様。いつもありがとうございます。 15禁にも満たない内容ですが、人目に触れるところに、エロは置いておきたくないので・・・。前回の1日限定拍手は告知もしなかったので、見てくださったのは3人でしたが、若林くんの誕生日記念にSSを書いて、UPしたことで、満足しましたし。今回のもサイトにすることがあれば、再録しますが、たぶんないと思います。 その他は後で。
拍手のみの方もありがとうございます。励まして頂きました。
from past log<2009.2.15>
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック
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