※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。
今日は将棋好きの人と話したので、こんな話になりました。 外は雪。遊びに来たのは良いけれど、余りの寒さに、出かけるのも億劫になり、ただひたすら二人でいる状態になっている。そうなると、することは限られてしまう。ベッドにいたい若林くんとベッドから出たい僕の攻防はいつものことだ。 いつも最後には若林くんペースになってしまう反省を踏まえて、今日は違う提案をしてみる。 「ゲームか何かしない?チェスとかトランプとか」 「将棋盤ならあるぜ」 「将棋、懐かしい!しよう?ね?」 小学校時代、雨で遊べなくなると、よく教室で将棋をした。二人で出来るので、父さんとも何度も指した。 「俺、強いぞ」 若年寄、といわれる若林くんらしい言葉に、僕は笑ってしまった。若林くんの得意そうな顔といったら! 「良いよ」 「じゃあ、俺が勝ったらベッドに戻ろう、な?」 「分かった。僕が勝ったら君の試合のビデオが観たい」 承知した若林くんだったが、一進一退の攻防を続ける内に、段々お互いの顔が険しくなる。確かに、言うだけあって、強い。さっき、打ち込まれた一手は相当痛かった。そこでこちらも歩を打って応戦した。 昔、将棋を覚えた頃、サッカーと似ているな、と思ったことがある。王を取られないように、他が攻めて守って。 取られた駒が寝返るのだけは辛いけど、そうならないように、出来るだけ駒を大事に動かすのも必要だと覚えた。 となると王がゴール?ううん。王はオールマイティな駒で1マスなら全方位に進むことが出来る。さしずめ、ゴールキーパー。 目の前で考え込んでいる若林くんが頭に浮かんで、僕は笑ってしまう。 「岬、お前優勢だからって笑うなよ」 憤慨した口調に、僕は若林くんに頭を下げた。 「ごめん、そんなんじゃないよ」 僕がその思いつきを話すと、若林くんも少し感慨深そうに、笑った。 「そうだな、監督から見たら、俺達はこんなもんかもな」 「でも、僕は絶対君を守るよ」 僕の頭の中を風が吹き抜ける。走る僕の後ろには若林くんがいる。 「そりゃ、光栄だな。じゃあお前はこれ、だな」 若林くんの指差した駒に僕も笑った。王のすぐ側並ぶ一対の金将。 「小次郎は絶対飛車」 「じゃあ、その寝返った角行は翼だな」 「ふふ、じゃあちょっとドリブルしてもらおうかな」 こうして見ると、若林くんの陣は確かに堅固で若林くんらしい。反対に攻め込んではいるものの、決定力不足のこちらは僕らしい。 でも、負けない。
結局、この日はビデオ三昧で終わった。若林くんのプレーに、すごいを連発する。 やっぱりすごいと思う。僕の横ですねているのと同一人物とは、とても思えない。 ・・・戦いたい。将棋をした後の興奮がまだ残っていて、僕の心を揺さぶる。 抱き締められる度、あまりぴったりと合う身長に、まるで抱き合うように出来ていると思ったこともある。でも、そんなことを抜きにして、戦いたい。 「君と、戦いたい」 多分、ゲームをしたかったのも、そういう感情の現れに違いなかった。 「容赦しないぞ」 「分かってるよ」 頷いた僕を若林くんはゆっくりと抱いた。 「それでも、お前だけはいつでも味方でいて欲しいんだよな」 「うん、分かるよ」 戦いたい、と言ったくせに、こうして抱き締められると、いかにこの人が僕にとって特別なのかを思い知らされる。 「だから、雪の日は休戦、な」 確かに外は雪。戦う気も失せて、このまま若林くんの体温に溶けてしまいたい気分になる。幸せな気持ちになって、それこそ雪が積もるままに、いやしけよごと、だ。 「うん。いつか、待っててね」 「ああ」 何を、か言わない。何を、か聞かれない。それでも、言い知れぬ幸せを感じて、しばらくそのままでいた。
(おわり)
拍手ありがとうございます。 若林くんと岬くんがゲームをするとしたら、将棋かなと。 結果は岬くんが詰めましたが、多分力量にそんなに差はないと思います。 他に将棋を指す人は少なそうなので、きっと好敵手。 念の為、金将は王将の隣に配する駒で、斜め後ろ以外は全方位1マス進める駒。使いやすいです。 飛車は縦横まっすぐに空マスならどこまでも進める駒。まさに直線ドリブル。 角行は斜め方向に空マスならどこまでも進める駒。いや、それだけです。
拍手お礼: さくら様。いつもありがとうございます。 このやろう、って感じでしょう?「自信&独占欲」本当にそうだと思います。 伝わったみたいで嬉しいです。その他・・・については、そちらで。ふふふ。
M☆様。いつもありがとうございます。 うう・・甘くないかも・・・。バレンタイン!という感じにしようと思ったのに、 連動考える方が楽しくなって。結果、少しエロなんです・・・。 本当に思った通りに話が進むことってないな、と実感しました。
これからも・・・の方、ありがとうございます。嬉しいです。頑張ります。
拍手のみの方もありがとうございます。元気が出ました。
from past log<2009.2.13>
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック
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