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今日のきみとぼく
源岬への愛だけで構成されております。
お題:「借りだと思うなら今すぐ返せ」
※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。

本日も xxx-titlesさまよりお題をお借りしています。 お題一覧はこちら

今日は小学生の二人です。

 つまづいて、転びそうになった僕に、横からさっと手が伸びた。僕の身体をさらって、支えてくれた手の主は、若林くんだった。
「足、まだ痛むのか?」
全国少年サッカー大会が終わり、まだ興奮さめやらぬまま新幹線に乗る時だった。
「ありがとう。大丈夫だよ」
声を潜めた僕に、若林くんが手を引っ張る。
「座るぞ」
「ちょっと・・・」
若林くんが手を引いてくれたおかげで、多分誰にも足の痛みに気付かれずに座れた。靴を脱いで足を伸ばしたところで、修哲のみんながやって来た。
「若林さん、何で先に座ってるんですか」
この三人はいつも若林くんの隣争いをしている、と森崎くんから聞いていた。
「お前らいつもうるさいぞ。監督に怒られん内に早く座れ」
窓際に陣取り、通路側の僕の頭越しに言い聞かせる若林くんに、体よくバリアに使われたような気がする。それでも、助けてくれたのは有り難かった。
 しぶしぶ他の席に向かった三人組を見送って、僕は若林くんを振り返った。
「若林くん、さっきはありがとう」
「気にするな。こっちも静かに帰れて助かる」
慕われるというのは大変らしい。でも、うらやましい、と思った。
「そう?決勝の後も肩貸してくれたし、若林くんには助けてもらってばかりだね」
僕の言葉に、若林くんが少しだけ目を細める。
「借り、だと思うなら今すぐ返せよ」
「え?」
聞き返した僕に、若林くんはとても真剣な顔をして、見つめてきた。
「お前俺のこと絶対忘れるなよ。どこに行っても。何年たっても」
拍子抜けしたのと同時に、心の中がほんのり暖かくなる。
「うん、約束する」
僕がこの夏を忘れることはない。あの時、勝利を知らせに来てくれたのは若林くんだった。
「絶対だぞ」
若林くんの言葉が嬉しくて、僕はその約束が守られることを確信した。

 それから三年。僕は西ドイツの若林くんを訪ねることにした。僕が約束を守っていると知ったら、若林くんはどんな顔をするんだろう。
 自然に笑みが湧き上がるのを抑えもせずに、僕は若林くんを待った。

(おわり)

小学生時代が書きたくなって。呆気なくなってしまったので、後は想像で補って下さい。

from past log<2009.2.3>
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック


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