※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。 久しぶりに続きです。やる気はあるんですが・・・。 しばらくして戻って来た日向を、若島津は迎え入れた。 「へへ、岬が二人で食えってよ」 「フランスパンかじるんですか?」 岬といたのか、と思う。そのくせ二人で、と言う辺りがいかにも岬だと思う。若島津の思いを見透かしたように、岬は仲が良いね、と笑ってみせる。 「おう。お前は?」 「遠慮しときます」 すげなく言うと、若島津はフランスパンをかじっている日向を盗み見た。 何だか、らしくない、と思う。 「何かあったんですか?」 「何でもねえよ」 ぶっきらぼうに言う時は、機嫌の悪い時、知られたくないことがある時。若島津は日向を横目で見た。 「ちょっと、出てきます」 「お前、こんな遅くに」 咎める日向の口調をよそに、若島津は部屋の外に出た。頭を冷やしたい、と思ったところが仇敵に出くわし、いかにも嫌そうに顔を歪めた。 「若島津、これから遊びに行くのか?良い身分だな」 「うるさい、精神集中だ」 追いすがる若林をにらみつけて、若島津は立ち去ろうとした。 「それより、傷の具合はどうなんだ?」 対ハンブルグ戦の傷にはまだ包帯が巻かれている。 「お前達はどうして、土足で上がりこんでくるんだ!」 「お前、たち?」 聞き返した若林に、若島津ははっとする。たち、とは誰のことなのか。 「すまん、こっちのことだ」 いくら虫の好かない相手であっても、関係のないことで怒鳴りつけるのはよくない。若島津は謝ってから、自分の言葉の意味を考えた。
「若島津、あのパン美味しかった?」 いつのまにか隣に来ていた岬に、若島津は目を見開く。朝一番でそれほど頭が冴えていないとはいえ、これだけの接近を許したのは、よほど考え事に気を取られていたらしい。 「ああ。それより、岬・・・日向さんの様子おかしくないか?」 若島津はあえて岬に聞いてやろうと思った。慎重な性格ではあるが、攻めるべきところ、抑えるべきところ、を常に考えている若島津は時に大胆な攻手である。 「そうだよね。僕を迎え入れちゃったら、示しがつかないだろうに」 腕を組んでいる横で同じように腕を組み、岬は微笑んだ。 「ねえ、若島津。君ってこんなに物事をはっきり言う性格だった?」 「はっきり言わないと分からない人がいるからだろ」 若島津の言葉に、岬は口元だけをほころばせたまま、真剣な表情を見せる。 「昔、君に会った時にね、すごく良いな、と思った。君は穏やかな顔をして、周囲を怖がらせたりしないけど、ちゃんと一目置かれていて。僕が肩の力を抜いて良いんだって、思ったのは君のおかげだった」
(つづく)
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from past log<2009.1.28>
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック
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