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今日のきみとぼく
源岬への愛だけで構成されております。
誕生日ケーキ
※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。


約束の時間通りに若林の家に来た岬は、大きな袋を持っていた。岬が大きな荷物を持っているのは、若林の知る限り初めてだ。泊まりに来た時でさえ、そう大きなかばんではなかったのだ。
「荷物?珍しいな」
つい目を動かした若林に、岬はいかにも楽しそうに微笑んだ。
「若林くん、お誕生日おめでとう!」
「はあっ!?」

 若林と岬は同じ学校に通ったことはない。同じチームにいたが、それも三ヶ月程のことだ。そして、今年三年ぶりに再会し、この夏も十日位は同じチームで戦ったが、それ位の接点しかない。
 再会して以来こうして時々岬は遊びに来るが、元々そう親しい訳ではなく、誕生日の話をしたことなどなかった。驚いた様子の若林に、岬はくすくす声を立てて笑った。
「何で知ってるんだって顔だね」
「そりゃそうだ。俺、話したか?」
「ううん、たまたま翼くんから聞いてね」
夏のJr.ユース大会では、若林も岬も旧友達と再会した。村八分と大歓迎と、チームでの待遇に違いはあるが、二人とも翼とはよく話した。
「若林くんは12月生まれ、しか知らないみたいで、修哲のみんなに7日って聞いたんだ」
おかげで、他のみんなの誕生日も分かった、と笑う岬に、若林はふと不思議な思いにかられた。岬とは、本当にわずかな間しか関わりがなかった。それが、大会が終わって、みんなが帰国した後も、こうして会って、誕生日を祝ってくれている。
「俺、お前と会えて良かったぜ」
「よく言われるよ、それ。でも、若林くんに言われると何だか嬉しいね」
照れを感じさせるような笑いを浮かべ、岬は持って来た袋を開けた。
「小さいけど、ケーキ持って来たんだ」
「お、ありがとうな。わざわざ買って来てくれたのか?」
「ううん、甘いものは控えているって聞いてたから、作って来たよ。不格好で悪いけど」
「すごいな、お前…」
差し出されたパウンドケーキと岬の顔を見比べて若林は嘆息した。確かに甘いものを控えている話はしたことがある。だから、カルツにもケーキは持って来るな、と言ってある。特大ケーキを持って来るに違いないが。
「甘くないって苦情は受け付けないよ」
「大歓迎だ。…来てくれるだけでも嬉しいぜ」
「そう言われると、なんだか複雑だけどね」
優しく笑う岬に、若林も笑いを誘われた。岬は若林の他の友人達とは違っている。サッカー選手としては小柄で、優しい顔立ちに静かな雰囲気。そして、独特の空気を持っている。だが、若林にとってそれは決して不快ではない。岬といる時には、穏やかに時間が流れる。
「あと、ろうそくは15本も立てられないけど、良い?」
「それは予想してなかったぜ…。って、本当に立てるのかよ」
「うん。頑張って吹き消しなよ。お祝いだからね」
若林にとって、誕生日と言えば、友人に囲まれてにぎやかに過ぎるものだった。夏に会った時に、岬が誕生日は過ぎたと笑ったのを覚えている。今年は友達に祝ってもらった、と話した岬の誕生日は今まではそうでなかったと若林は知っている。だから、せめてと「遅くなったけど、おめでとうな」と祝いの言葉を口にした若林に、笑った岬はどこか寂しそうに見えた。
「ああ」
その岬がこうして祝いに来てくれたのが、妙に嬉しく思えた。その感情が何というものなのか、まだ14歳の自分には分からない、と若林は思った。明日に15歳の誕生日を迎えても、きっとまだ分からないだろうが。
「…ありがとうな、岬」
「うまく吹き消したね。Happy birthday!若林くん」

(終わり)

拍手ありがとうございます。

若林くん、お誕生日おめでとうございます!
今年は忙しくて、たぶんケーキを買いに行く時間もないのですが、心からお祝いいたします。
グラジャン本誌で活躍しまくっているこの時期に、お誕生日をお祝いできるのは本当に嬉しい。
今度こそ移籍先が見つかりますように。
そして、今年も岬くんと幸せにお過ごしください。
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