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今日のきみとぼく
源岬への愛だけで構成されております。
デートプラン
※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。


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【源三と太郎のデート】
8:00 かわいいモーニングコール
11:00 アクション映画で盛り上がる
15:00 一緒にケーキを食べる
19:00 「そろそろ帰らなきゃ」
結果、相手の可愛さにクラクラしました。


「おはよう、若林くん。起きてる?」
「…ああ」
約束通りかかってきたモーニングコールに、少し眠そうな声を繕った。
「良かった。忘れてないよね?今日の約束」
「もちろんだぜ。岬、起こしてくれてありがとうな」
そう答えると、電話の向こうの岬は少しホッとしたようだった。そして俺は、リクエストが完璧に果たされたことに満足した。

 岬とデートの約束をした。岬の方はそんな気はないかも知れないが、一緒に映画に行って、昼飯というコースはデート以外の何物でもないはずだ。
「嬉しいぜ、岬。一緒に観たかった映画なんだ」
「そうなんだ?それは光栄だな。誘ってくれてありがとう」
にこやかに笑っていても、それ以上に立ち入らせないのが岬で、優しい微笑みもまるで笑顔の結界そのものだ。
「それがな、前の日がチームの食事会になっていてな。悪いけど、起こしてくれないか?」
もちろん嘘だ。大事なデートをそんな日にセッティングするようなヘマはしない。だが、岬は柔らかく口元を綻ばせた。フワッという擬音がしそうな、花が開いたような笑顔に、つい見入る。
「もうっ、若林くんは仕方ないね」
一人っ子で、放浪生活の長い岬は、実は頼られるのが好きだ。もたれ掛かるまで行くと面倒がるが、少し頼られると認められた気がするらしく、張り切り出す。
「そうだな…8時位に可愛く頼む」
「何だよ、それ」
「一発で目が覚めるような可愛いのが良いぜ」
「やだよ」
岬は笑って冗談にしようとしていたが、それでも岬のモーニングコールは可愛くて、朝からその気になりそうだった。

「おはよう、岬」
駅に着くと、岬は文庫本を手にベンチで待っていた。
「待たせたな」
「ううん、そうでもないよ」
さっきまでそわそわと髪を直していたことを悟らせないほど、何気ない様子で岬は立ち上がった。
「さあ、行こうぜ」
「うん」
映画館の位置も予習済みだ。前にDVDを観た時は、狙ったようなラブストーリーだったが、ドイツ語を覚え始めたばかりの岬には、分かりにくかったらしい。ドイツ語の語感もあって、終始「ケンカ?」という顔をしていた。今回のリベンジでは、それも踏まえて、話が単純なアクション中心の映画を選んだ。

「面白かったね!」
「ああ。主人公達が死ぬんじゃないかってハラハラしたぜ」
前評判の通り、映画は面白かった。宇宙人を相手に戦う主人公チームは次々に倒れていき、最後に残ったのは、主人公と彼を信じた恋人だけだった。
「…それに、ロマンチックだった」
口に運ぼうとしていたフォークを下ろし、静かに話す岬の声に、ドキッとした。
 息を殺すように映画のシーンに見入り、2時間ぶりに声を出したせいか、岬の声は少しかすれていて、妙な色気があった。
「ああ、あのラストシーンとエンディングは感動的だったな」
それだけではない。主人公とヒロインが抱き合うラストシーンは、緊張の後ということもあって、気がついたら、岬の手を握りしめていた。エンディング曲が終わるのを待ち、出来るだけ自然に離したつもりだったが、あの感動的なエンディングのサビは、目を潤ませる岬の横顔や柔らかい手の感触とリンクして、いっそう印象深いものとなった。

 気に入ってはいるが、ほとんど行かないカフェでケーキを食べてから、俺の部屋に戻った。買ったパンフレットを見ながらひとしきり映画について語った後、話は自然に、翼からの手紙のことになった。
「翼が、お前に会いたいって」
再会したことを知らせてから、翼の手紙は岬一色になった。岬とサッカーがしたいということしか内容のない手紙に、岬は「翼くんは相変わらずだね」
と笑った。
「まあな。でも、俺もずっと会いたかったんだぜ」
そう言葉を接いだ俺に、岬は伏せていた目をそっと開き、それからゆっくりと見上げた。まるで映画のスローモーションだと思った。どこをとってもきれいな場面のまま、岬は俺を見る。
「ふふ、嘘つきだね」
からかうような口調に、軽く噛まれたような気がした。そのまま立ち上がろうとした岬の手を掴んで、座っていたソファーに引き戻した。
「僕、そろそろ帰らなきゃ…」
言いかけた言葉を途中で遮り、俺は岬の手首を掴む。
「俺は本当に岬に会いたいと思ってた」
時間はもう19時だ。フランスまで帰ることを考えると、確かにタイムリミットは過ぎている。それでも、今帰したら、次はないと分かっていた。
「…僕の知らない人みたいだと思ったよ。オシャレな店に行き慣れているんだなって」
俺を見つめ、少し寂しげな笑顔を浮かべる岬を、このまま抱きしめてしまいたいと思った。もちろん、岬に怒られるのは分かっているから、そんなことはしないが。
「岬とまた会えたら、喜ばせたいって決めてたんだ。だから、一緒に行きたい店をリストアップしてたんだぜ」
リストのトップに選んだ店だけあって、パイは絶品だった。上機嫌で食べる岬に、俺も幸せな気分になった。そんなことを思い起こして話すと、岬は少し顔を赤くして、呟いた。
「…そっか…。僕と一緒だったんだ。ごめんね」
恥ずかしそうに謝る様子が可愛くて、岬を抱きしめたい気持ちまたしてもを必死で抑えるしかなかった。

「今日はありがとう」
駅まで見送っても、名残惜しさは尽きない。
「こちらこそ楽しかったぜ。ありがとうな」
デートも、その後も。岬はそうは思わなかっただろうが、人生初のデートだったんだ。気合いを入れない訳がない。
 それでも、今日は良い夢が見られそうだ、思った時だった。岬は俺を見上げて、笑顔になった。
「また、デート誘ってね」
…その笑顔ときたら、本当に可愛くて、今夜は眠れそうにないのだった。

(おわり)

拍手ありがとうございます。
先日のデートプラン、書いてみました。
急いでアップしたので、色々ぐちゃぐちゃですが…。
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