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今日のきみとぼく
源岬への愛だけで構成されております。
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トライアングル(5)
※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。

 若島津がその時の二人と顔を合わせたのは、それから三年後のことである。

 一段と大きく、ふてぶてしくなった若林ときたら、手のケガですぐに病院に運ばれることになった若島津にとっては、とにかく腹が立つ以外の何物でもなかった。後から現れて、日本のGKの座を奪おうとする相手に好感をもてる筈もない。毎日が「若林悪口会」と化した食堂で、日向と松山が仲良くしているのを奇異の目で眺めながら、つい練習には熱が入る。
「こんな時に、あいつがいればな」
日向が言ったのは、そんな夜のことだった。練習に行っていたらしく、夜遅くに戻って来た日向は、寝返りを打った若島津に、独り言のように呟いた。
「あいつって、岬ですか?」
遠い昔のことなのに、日向と笑い合う岬を思い出して、若島津は一瞬唇を噛み、それから微笑む。
「ああ。一人で走っている翼や背中を向けている若林を見てたら、あいつらに囲まれて楽しそうにしていた岬を思い出しちまった」
偵察の時や大会中、その二人に警戒するような視線を向けられたことを思い出し、日向は口元をほころばせた。岬はあんな顔をして生意気ではあったが、昔から仲間思いだった。こんなに合宿がぎすぎすしていることを知ったら、心配するに違いない。
「そうですね。でも、岬がいたら、日向さん一番に叱られますよ」
自分でも確度の高い意見を口にして、若島津は隣に腰掛けてきた日向を見る。
「間違いねえ、な」
中学三年間、若島津には随分叱られた。若島津に怒られるのは、他の人に迷惑がかかるようなことをした時で、自分に対する迷惑については、一向に怒る様子もない。身内、の距離だと日向は思う。岬が同じ距離だった頃、若島津は自分に対して遠慮をしているように思えた。そして、岬が去った後、若島津は日向の身内、になった。岬がいくら離れていても、たとえ敵にまわっても身内だと思えるのなら、若島津は自分の一部だと思っても良かった。身体は別であっても、常にどこかがつながっている。
「岬、本当に合流するんでしょうか?」
この3年間、岬の消息は誰も知らなかった。フランスに渡っていて、西ドイツの若林に会いに行った、と聞いたのが全国大会でのことで、その噂の片割れの若林の変わりっぷりからすると、二人の友達付き合いも果たしてどうなのか分からない。
「でも、もし合流したら、ちゃんと迎えてやりてえけどな」
一瞬震えた若島津の肩の動きに、日向は気付かずにいた。

(つづく)

(6)へ

久しぶりの再開です。自分でも忘れるところでした。
次回、舞台はフランスです。って、私Jrユース合宿好きすぎですね。(でも、書く)

from past log<2009.1.21>
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック


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