※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。 アジア予選に向けた強化合宿が終了し、各選手は自分の本拠地に帰った。 もちろん僕もそうで、合宿解散後、若林くんと一緒に静岡に戻った。
若林くんが帰ってしまうと、狭い部屋は途端に広くなった。コーヒーカップやソーサー、若林くんのいた時間の遺物を片付けると、余計に広さを感じ、我知らずため息が出た。たった二日間しかいなかったのに、部屋に若林くんの存在感が残るようで。
テーブルの上には、若林くんが吹き込んだ目覚まし時計が置いてある。僕が買い物に行っている間に録音してくれた若林くんは、帰って来た僕に、何とも言えない笑顔を向けた。 「これ、俺が帰ってから、すぐ聞けよ」 「どうしてすぐなの?」 「だって、すぐに聞きたくなるだろ?」 それを聞いた時には、一笑に付したんだけど。 たまらなくなって、指がスイッチを押すと、優しい声が流れ出す。 「岬、おはよう。今日もお前にとって良い日になるように。今日もお前のことを思っている。早く会いたいぜ」 これで起きられる訳がない。ゆっくりと優しい口調に、若林くんの甘い声のせいで、涙がこぼれそうになる。どんな気持ちで、若林くんはこれを録音したんだろう。・・・・もっと、優しくしてあげれば良かった。
「録音聞いたよ、ありがとう。僕も早く君に会いたい」 メールを送った。さっき別れたばかりなのに、早く、も変だけれど、そう思ったから。 「じゃあ、メッセージ2を聞いて」 若林くんからの返信はすぐだった。まだ国内だから、と思い返して僕はスイッチをひねった。 「分かった。すぐ会いに行くからな」 その言葉通り、すぐに鳴ったインターホンに僕は飛びついた。
結局、若林くんは一旦実家に帰っていただけだった。だまされたとはいえ、抱きついてしまった自分が悔しくて、無視していたところを、にっこり笑った若林くんの腕にさらわれる。 「戻ってきたんだから、メッセージ変えてよ」 見上げた僕に若林くんが頷く。 「ああ。切なくなるだろ?2をちゃんと変えるから、安心しろ」 まったくこの自信家は。言いかけてやめた。会いたくなったのは本当だった。
若林くんが帰った翌朝、目を覚ました僕が一番にしたことは、止めたばかりの目覚ましをメッセージ1に切り替えることだった。ちなみに、僕を起こした、メッセージ2はこう。
「岬、好きだ、愛してる、愛してる、愛してる・・・」
(おわり)
拍手ありがとうございます。
今日のSSについてはノーコメントで。
個人的な話なのですが、昨日クレスリウム王国様で、本田様が私の駄文シリーズにイラストを描いて下さって、もう嬉しくて嬉しくて舞い上がっております。 読んで下さってたら良いな、と思いつつ、ここでお礼を。ありがとうございました。
拍手お礼: 今井様。いつもありがとうございます。 こちらこそ、細かいポイントに気付いて頂いて嬉しいです。 リサちゃんにねだられたら、岬くん、目覚まし時計貰いに行くでしょうね。 そして、苦労して入手したことは言わないで、笑顔で差し出します。 でも、その目覚ましは父ちゃんを起こすのに使われるのでした。・・・なんて。
さくら様。いつもありがとうございます。 昨日は同時で失礼致しました。確かに起きられない時計だと思います。 でも、そこがツボかな、と。 あと、リクエストの貧乏カップルの安普請アパート生活、書きました。 「四畳半風呂付」 苦情、返品等はいつでもどうぞ。
拍手のみの方もありがとうございました。今日も癒されました。
from past log<2009.1.20>
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック
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