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今日のきみとぼく
源岬への愛だけで構成されております。
「さよなら一つじゃ断ち切れなかったんだ」
※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。

診断メーカーの「僕から君へ、愛のことば」をまた試してみました。

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源岬 の愛の言葉:グラスの氷が溶ける真夏の午後、机に伏せながら「さよなら一つじゃ断ち切れなかったんだ」
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 グラスの中の氷が、カランと音を立てた。暑さで氷が溶けるのも早いグラスを揺すって、光を反射させる水面を眺める。

「電話だ、悪いな」
そう言って若林くんは席を立った。携帯電話を手に、少し離れた場所で通話をしている。

 頬杖をついて思いを馳せるのは、たった一人のこと。なかなか戻らない若林くんに、考えがまとまらずにいた。

 友達でいようと言ったのは、僕の方。告白を断られた立場の若林くんが「そうか」とすぐに引き下がったから、安堵した反面、一抹の寂しさを感じた。
 若林くんのことは好きでも、「いつか来る」「終わり」を思えば、耐えられなかった。それなら、お互い傷をつけ合う前に、とつい予防線を張った。それで諦められる位なら、それだけのことだったのだと頭では理解している。それでも、心は収まらない。素直になれば良かったのかという後悔と、これで良かったのだという達観が、押しては引く波のように、代わる代わる心を占める。

 机に突っ伏して、何度も自問自答を繰り返した。それでも答えは出そうにない。
 会いたかったから、会いに来た。一度会ったら、もう一度会いたくなった。
 欲を出せば、限りない。満たされることなく求めてしまう。
 だからどこかでキリをつけるしかない。そう分かっていても、割り切れるものではない。

「岬」
顔を上げると、いつの間に戻って来たのか、若林くんが立っていた。
「お前が何と言おうと、俺はお前が好きだ」
静かな口調で囁かれる言葉に、たまらなくなって、机に突っ伏した。何も恐れることなんかないはずだ。僕が好きになった君なんだから。
 まぶたを焼くような熱さに、涙がぼろぼろ落ちる。
「…好きだよ」
偽りのさよならでは、自らの心さえ謀ることができなかった。
「ありがとうな。…顔上げろよ」
「いやだよ。涙でぐちゃぐちゃだから」
涙でぐちゃぐちゃの顔を上げるのはしのびない。でも、若林くんがどんな顔をしているのかが気になって、僕は顔を上げた。
「…本当に泣いてたんだな」
若林くんは少し驚いた様子だったけど、僕の涙を拭ってくれた。
「でも、可愛いぜ」
視線を上げると、若林くんは優しい眼差しをしていた。そのまま抱きしめられて、涙でぐちゃぐちゃの顔を見られた恥ずかしさなんか吹き飛んでしまった。

(おわり)

拍手ありがとうございます。
原作の小学生大会決勝戦を読み返してはゴロゴロ転がってしまう毎日です。
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