※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。 U-22日本代表チームの要である、三杉・松山・岬の通称3Mのミーティングには誰も入れない、合宿ではそれが暗黙のルールになっていた。三杉の立てる戦略と、それを可能にする三人の連携がどのように成り立っているのか知りたい者は多かったけれど。 「岬、悪いけど・・・」 ただ、途中から合流した若林はそのルールを知らなかった。三杉と松山の部屋に踏み入ってから、若林は絶句した。テーブルの上には確かにマグネット盤も置かれていたが、その隣にはパイと紅茶。 「何してるんだ、お前ら」 ミーティングらしいと聞いていたのに、どう見てもお茶会の様相である。 「・・・ミーティングの後、おやつ」 周囲の憧憬の目を悪用しやがって、と呆れながらも若林は岬を呼び出した。 「明後日のオフの相談。明日の夜、空けといてくれ」 「じゃあ、9時に食堂で」 ドイツ語の得意そうな医学生三杉の目をはばかって、フランス語で囁くと若林は部屋を出た。
「あの後、二人ともうるさかったんだからね」 月光を湛える食堂のテラスで、明かりもつけぬまま二人で話している。この光景を見られたら、誰でも勘繰ってしまうに違いない。岬のお気に入りの場所だけあって、殺風景な食堂の一部とは思えぬ程、雰囲気は抜群である。 「そうだろうな」 3Mのべたべたぶりを思い出し、若林は苦笑する。松山の岬に対する偏愛ぶりは、小学生からで、それに三杉まで仲間に入ってから、お互いがお互いを構い合う仲の良さときたら、対抗馬は修哲トリオ以外ないという有様である。 「うん。折角、三杉くん提供の限定パイを楽しんでたのに、って言われてさ」 「やっぱりティータイムだろうが」 若林の言葉に、くすくす笑うと、岬は声を潜める。 「おかげで助かったんだけど。それまでノロケ話がひどくて」 ノロケ話、の辺りで岬の声は困ったような響きを帯びる。 「ノロケ話?はは、どこがミーティングなんだ?」 「終わってからだよ。三杉くんの彼女って、コスプレしてくれるんだって」 「・・・そんな感じだろうな」 三杉の彼女の青葉弥生を思い出せば、コスプレ姿さえ想像できそうだ。サービス精神たっぷりの三杉の彼女。 「それで、松山の彼女は絶対嫌がるんだって」 「なるほどな」 「・・・でも、松山はそこが可愛いんだって」 その話を遮ったのなら、岬が有り難がるのももっともだろう。爽やかで知られる3Mもそんな話をしているのか、と若林は苦笑する。 「それで、岬はどう思ったんだ?」 興味津々の若林の問いかけに、岬は頬杖をついたまま、顔を上げる。 「人それぞれだなって、感心したけど」 『目のやり場がなくて。もう、困ったよ』と言う三杉も、コンサドーレユニフォームを着せた時の苦労談がやたら長かった松山も、とても幸せそうだった。 「ただ、僕は二人よりももう少し幸せだな、と思った」 若林が合流して、また一緒に戦える。海外組の召集はないからと、今回は諦めていたのに。ただ、今回若林の招集が可能になった事情を考えれば、岬としても単純に喜んでいられないのだけれど。 「俺も、来て良かったと思う」 岬が一番辛い時に助けに来られたのは、本当に嬉しい、と若林は思う。そうでなければ、同じ競技を続けてきた意味はない。この時に同じピッチに立って、ゴールを守ってやれる。 「頑張ろうな」 「うん」 月明かりだけでそこまでは見えぬはずなのに、お互いの表情は手に取るように分かる気がした。二つの影は自然に近付き、一つになった。
(おわり)
拍手ありがとうございます。
この話を最初に書いた時は、本当に救いのない話だったのですが ・・・さすがの3M効果ですね。 でも、弥生ちゃんや美子ちゃんの姿ばかりが印象に残る気が。 あと、個人的には3Mと若林くん、を書くのがすごく嬉しかったです。
今日はトライアングルお休みです。 昨日、他の方の文を拝読していて、本当にこだわりをもって書いていらっしゃって いるんだな、と恥ずかしくなり、トライアングルの続きを直すことにしました。 (と言っても、いつもどおりそうたいしたことはないのですが) 拙宅自体、質より量更新なので、今更、なんですけれど。 思いつき、とか萌え、しか何もないのも今に始まったことではないのですが。 でも、考えちゃいましたので、こちらに。
拍手お礼:
トライアングルを誉めて下さった方、ありがとうございます。 (それなのに、今日早速休みました・・・) 私も松山くんや日向くんと岬くんの交友にはすごく興味があります。 メッセージありがとうございましたv
さくら様。いつもありがとうございます。 小学校時代の若島津くんはおっしゃるとおり、ワイルドです。 変遷としては、(?)→小学生ワイルド若島津→中学生耐える若島津 なので、(?)が「おとなしくさわやか」なら面白いと思って書いてみました。 ちなみに岬くんは「松山」「小次郎」→(?)→「翼くん」「若林くん」です。 この場合の(?)は「なめられないように虚勢を張るなんて子供なことはやめよう」かな?と解釈。 でも、岬くんは元々「自分のこだわりについては譲らない勝気な子」なので、 決勝戦では目をつりあげちゃって、「小次郎!」とかなるんですけど。 結構、この手のことを考えるのは好きなので、原作は常に手元です。 (そこで、Jrユース編までと今のしか置いていないのが、ポイントですが) 12?22まで10年間使い放題なのは、ありがたいですけれど。 他のことは、また拍手で。にやり。
拍手のみの方もありがとうございました。励みになります!
from past log<2009.1.16>
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック
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