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今日のきみとぼく
源岬への愛だけで構成されております。
「今更嫌いになんてなれるはずがないのに」
※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。

診断メーカーの「僕から君へ、愛のことば」をまた試してみました。

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源岬の愛の言葉:グラスの氷が溶ける真夏の午後、何でもないように「今更嫌いになんてなれるはずがないのに」
https://shindanmaker.com/435977
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 パリにしては、珍しく気温が上がった。

 汗だくの身体を何とか起こして、居間に戻る。
 テーブルの上には、出しっぱなしのグラスが2つ。長く置いていたせいで、氷も溶け切って、残ってはいない。

 まだ身体はだるいけれど、無理矢理引きずってシャワーを浴びた。冷たいシャワーにしたせいで、頭の中に芯が入った気がした。
 昨夜のことを思い出すと、途端に胸がつかえるような気分になる。そんなモヤモヤを洗い流すように、いつもよりも水をかぶった。

 昨日、若林くんと寝た。完全に合意ではなくて、かなり強引なものだった。
 家に誘っているくらいで、好意がなかった訳じゃない。それでも、そこまでは思っていなかった。
 好きだ、と囁く若林くんの言葉を信じない訳ではない。それでも、あんなに性急でなければ、もう少し穏やかに受け入れられた。
 嫌いな訳がない。先に会いに行ったのは、僕の方だ。僕にしては、深入りし過ぎていた。

 濡れた髪を乾かしながら、居間に戻る。テーブルを片付けようとしたところで、ベッドから出て来た若林くんに会った。
「岬、大丈夫か?」
「大丈夫な訳ないよね?」
意地悪い口調で聞き返して、ソファーに座った。隣に座ろうとする若林くんに、黙って首を振る。
「そっちにどうぞ」
いつもは父さんが使っている一人用ソファーを指差すと、若林くんは黙ってそこに腰を下ろした。
「岬、俺は…」
「話すのは後で良いかな?喉渇いてるんだ」
氷もない、すっかりぬるくなったお茶をゆっくり飲む僕を、若林くんはじっと見ていた。

「話して良いか?」
僕がお茶を飲み干すのを待っていたんだろう、若林くんはゆっくりと切り出した。
「…良いよ」
僕は頷いて、顔を上げる。視線がぶつかり合った。

「許してもらおうなんて思っていない。俺はお前が好きで…」
「僕も君が好きだったよ」
「岬…」
若林くんの話を遮り、睨みつけた僕に、若林くんは言葉を失ったようだ。反省したら良い。僕だって、君のことが好きで…こんな形じゃなかったら、恋人になっていたかも知れない。
「もし、許してもらえるなら…」
若林くんらしくない言い方に、胸を打たれた。そして気付く。
 君が僕のことを傷付けても、僕は君のことを傷付けたくないんだ。
「まあ、今さら嫌いになれる訳じゃないし」
ため息交じりに口にした僕に、若林くんは強く抱き締めてきて、しばらく離してくれなかった。

(終わり)

拍手ありがとうございます。
夏用に書いた話は夏の内に、と思っているのですが、いつも忘れてしまいます。
結果季節感がなくなってしまうのでした。

いつの間にか、「書いたもの」カテゴリの公開記事が1,000を超えました。
他に作りたい記事もあるのですが、まだ着手できていなくて…。
時間と体力が欲しいです。

…日付設定を間違えて、7/27にしていました。本当にダメな感じです。
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