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今日のきみとぼく
源岬への愛だけで構成されております。
サト.ラレ(後編)
※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。
※今日は「サト.ラレ」という漫画の設定を少し使用しています。

 南葛SCの練習の度に、可愛いと繰り返す若林に、岬は困っていた。
『岬は色が白いなあ』
『髪もサラサラしてて、触ってみたいもんだぜ』
行く土地土地の商店街で、アイドル的存在として、大人からは可愛いと言われる岬であるが、同年代からの称賛はさすがに恥ずかしい。
「お前大変だなあ」
完全な公開ストーカー状態に、石崎が心から同情するものの、岬は首を振る。
「僕は慣れたよ。それより…」
岬がチームメイト達を眺める視線に、石崎はああ、と呟いて頷いた。若林の異変に、修哲組は毎回固まる。顔も強張らせ、冷や汗を流して固まる連中は、とても見ていられない。
「…本当に大変だな」
石崎は岬の肩を叩いて立ち去ろうとし、そして敵意のこもった視線に気付いた。
『石崎め、岬に何を馴れ馴れしくしてやがる』
背筋に寒気を覚えて、石崎は早々にその場から離れる。
「岬くーん、早く練習しよーよー」
「うん、今行くよ!」
翼が若林の声が聞こえないことを、ますます羨む南葛チームだった。

 そうこうしている間に、南葛SCは静岡県大会を突破し、全国大会に駒を進めた。途中、若林が脱落したものの、静岡県大会での大顰蹙もあって、チームはむしろ安心していた。武蔵野チームと対戦するまでは。

 武蔵野チームは、全国に名高い天才を擁する。三杉淳は、心臓病を患いながらも闘志を失わない天才である。そして、それは例の現象が起こることを意味していた。
「翼くん、勝負だ!」
『翼くん…翼くん…』
三杉の心の声は、翼には聞こえない。幸か不幸か聞こえてしまう岬は、何とか猛追すると、パスカットをしてみせた。天才同士というのは厄介だと思いながらも、天才ではない自分に大いに満足することができた。


 決勝戦に再登場した若林に、日向は勝利宣言をした。動きを見切れば、自分の内心を吐露している天才はかえって与しやすい存在といえる。そういう公算もあった。だが、南葛には岬がいた。天才ではないが、天才の動きを予測し、フォローできる伏兵として動く岬の存在に、天才がいる欠点は長所に変わった。

 試合終了のホイッスルが鳴った。
「岬、勝ったぞ!」
一直線に知らせに走り寄り、抱き起こした若林に、岬は周囲を見渡した。井沢や高杉も近くにいるのに、それ以上は近づいて来ない。どう考えても、足に怪我をしている上に、岬とは身長差のある若林が岬を支えるのはおかしいのだが、誰も来ないし、岬を支えるとも言わない。
『岬、可愛い顔にケガしてまでゴールを守ってくれて、可愛いなあ』
『本当に良い匂いがするぜ』
若林の幸せそうな呟きが駄々漏れで、誰も触れたくないためである。
「あの、若林くん」
「何だ?」
「重いだろうから、一人で歩くよ」
「気にするな、お前くらい大丈夫だ」
『こんな時にも気遣ってくれる岬は、まるで天使だな』
モーゼさながらに、皆が道を開けてくれる。気がつけば、目の前に日向がいた。
 天才でなくても、日向の思考は表情だけで読み取れる岬である。若林の駄々漏れぶりに恐れをなしている日向に、岬は目で合図した。だが、日向は首を振り、二人に話しかけた。
『日向も俺達を祝福してくれるんだな!』
もちろんそんな呟きを黙殺してのことである。そして、怖い顔をしてにらんでいる岬も。

 
 もちろん、優勝したことを喜んでいない訳では決してない。だが、岬は転校するなり、自分の足跡を消した。翼はともかく、もうひとりの天才には困り果てていたからである。


 三年後、サトラレガードという技能を身につけた岬は、能力を試しに若林に会いに行く。そして、更にパワーアップした若林に口説き落とされてしまうが、それは別の話となる。

(おわり)


拍手ありがとうございます。
出オチだな、と思いながらも最後まで書いたのは、三杉くんと決勝戦が書きたかったためですが、詳細に書くと大変なことになるので、ダイジェストで。いや、ダイジェストでも十分最低な話なんですけれど。

先日テレビを見ていたら、黒いシャツと白いシャツでは体感温度がかなり違うと言っていたので、明和FCと南葛SCでは相当違うんじゃないかと思いました。…今年のような酷暑でなければ良いのかしら??

以下、拍手お礼。
くるみ様、いつもありがとうございます。
確かに「ひぃぃぃ~~~~!」という気持ちも分かります。うん、あんなに素敵な話を受け取ったら、奇声を発しそうになりますよね。
倍返しをいただいた私も完敗気分でした。
そして、「帽子のツバをいじる若林くん」萌えもよく分かります!また萌えが共有できて良かったです♪

拍手のみの方もありがとうございます。励みになります。
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