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今日のきみとぼく
源岬への愛だけで構成されております。
四畳半風呂付
※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意下さい。
※普段とカップリングが異なります。(小次岬です。平気な方のみどうぞ。


「小次郎、もっとそっと歩いてよ。そこ床板きしむんだから」
「悪ぃ、お前が板張ってくれたもんだから、忘れてたぜ」
とはいえ、荷物を受け取り、運搬してくれた日向に、岬は微笑みながら手を伸ばした。高校を卒業して、ワールドカップ一本に絞ることにした。寮を出て、他に行くところもない日向と、住む場所に執着のない岬と。高校時代は覇を競い合った二人が、一緒に暮らし始めるのは自然な流れだった。
「荷物、ありがと。助かったよ」
受け取った食料品を手早く冷蔵庫に入れる岬。むやみに冷蔵庫に押し込むのは電気代のロスだと知っている為、整頓も同時にしてしまう。
「ああ。良いさ。それより」
居間兼食堂兼寝室の四畳半に戻って来た岬の手を取ると、日向は自分の方に引き寄せた。開いた足の間に、身体ごと引き入れられて、抱きすくめられる。
「寒かったから、こんなに冷えてる」
岬が帰って来たからと、餅も焼ける灯油ストーブを点けたものの、部屋が暖まるまでには時間がかかる。日向の高い体温に、岬はうっとりともたれかかる。
「でも、小次郎は寒くない?」
ひんやりした岬の手を握る日向が寒くないわけはない。可愛い顔で案じる岬に、日向は口角を上げる。
「つまらねえ心配してないで、もっとくっつけよ」
そう言いながら、日向の手は岬の頬を包み込んだ。
「あったかいよ。ありがとう」
まだ冷たい岬の身体であったが、それが自分に触れる度、体温が上がるようで、日向は少しも寒いと思わなかった。

 四畳半風呂付のアパートに二人暮らし。自分の戻る場所はなくても家族に仕送りしたい日向と、サッカーの時間を残しながら生活しなければならない岬と。貧乏暮らしではあったが、二人は熱く恋人同士だった。

「部屋もあったまったし、風呂入ろうぜ」
日向の言葉に、岬は頷く。岬が買い物に行っている間に、日向が風呂を洗い、沸かしてくれていたらしい。自分を抱き締めながらも、時計を見て時間を計っていた日向。そんな家庭向きな一面を他に誰も知らないかと思うと、少しおかしくて、岬は笑いをこらえる。
「うん。そうしよう」
バスタオルと着替えを用意する岬に、お風呂場から日向が呼ぶ。
「岬、早く来い」
「うん」
二人の家の浴槽は狭い。その浴槽に半分しかお湯を入れない為、二人で入らないと、身体は温まらない。
「入るよ」
岬が漬かると、湯は溢れる寸前まで水位を増した。足の間にちょこんと座る岬に、日向が後ろから腕をまわす。
「わっびっくりしたじゃない」
「暴れるなよ。湯が減るじゃねえか」
こうして裸になると、肌の色の違いが際立つ。ぬけるように白い岬の首筋に唇を付けて、日向は岬を抱き寄せた。
「岬、あったまってきたか?」
「うん。小次郎は?」
「俺はお前さえいれば、あったけえよ」
こうして抱き締められれば、ただでは済まない。日向の心に火をつける前に、と岬は浴槽から身を起こそうとする。
「身体、洗いたいのに・・・」
無防備な腰に手をかけられて、岬は困った声で従った。もう一度湯に身を沈めれば、待っていたかのように降る口付け。
「ご飯の支度もしないといけないんだよ」
腕の中で嘆く岬に、日向は岬の髪を撫でた。
「今晩のおかずは?大根買ってたよな?」
「大根炊いて、葉っぱと玉ねぎの味噌汁に、サンマ」
貧しくても、愛する小次郎にはしっかり食べてほしい。安売りの大根は葉まで食べ、松山に貢がれた玉ねぎは食卓の強い味方。岬の愛情を日向はちゃんと分かっている。
「じゃあ、今日は大根のおでんに変更な。俺が作ってやるよ」
「お風呂、冷めちゃうと風邪引くから、やっぱり上がってから。ご飯楽しみにしてよ」
ちゃっかり者の岬らしく、さっさと上がると岬は日向に手招きをした。
「その分、髪の毛洗ってあげる。ね?小次郎?」
甘い笑顔で、名前を呼ばれるのはくすぐったい。日向が呼び捨てを許すのが岬の特権なら、岬が呼び捨てにするのも日向の特権で。
「ああ」
そう呼ばれる度に、何でも許したくなるのだった。

 夕食作りは日向も手伝った。狭い台所に男二人で立つのは窮屈であるが、慣れた二人だけに、邪魔にはならない。質素であるが、愛情に溢れた夕食を満喫した後は、さっさと布団を敷いてしまう。夜は早く寝て、朝早く起きる。二人の節約は徹底していた。
「電気、消さないと」
布団の中、既に洋服を奪われた岬が最後の抵抗をする。
「風呂では許してやったんだから・・・もう待てねえよ」
熱っぽく囁かれて、岬は潤んだ目で日向を見た。重ねられた肌は熱くて、岬の身体の芯を火照らせる。
「小次郎・・・」
薄暗い蛍光灯の下、白い肌を桜色に染めて、見上げてくる岬が可愛くて仕方がない。何をしても、大丈夫だよ、と言いながら、眉根を寄せて快楽に耐える岬の様子が、たまらない。
「あっ・・・」
敏感な部分をまさぐる手に、岬は自分の指を噛んだ。日向の背にまわした指にも力が入り、紅い跡がつく。
「お前、跡目立つから・・・俺の指を噛めよ」
日向が差し出した指に、歯を当てるのではなく、岬は舌を絡めた。美味しいものであるかのように、吸い上げる岬の様子に、日向は我慢できなくなって、指を引き抜いた。自由になった両手で岬の腰を持ち上げると、欲望の塊を押し込む。
「ぐっ・・・」
声をあげそうになった岬は、身体を起こすとさっと、日向に口付けた。身体が揺らされる度に深くなるキスに、日向の心も加速する。隣近所に野菜や缶詰を貢がせている岬のこと、騒音を撒き散らす訳にいかないのも分かるが、この方法は刺激的過ぎる。日向が動く度、岬が喉を鳴らす。
「んっ・・・」
暖房すら要らないほど、二人の身体は燃え上がっていた。貧乏でも幸せなのが一番大事だと母の言っていた言葉を日向は思い出す。こうして、爪に火を灯すように貯めた金を全部仕送りにすると言っても、岬は微笑んでいてくれる。
「岬、俺は幸せだ」
「うん、僕も」
こうして二人の節約生活は幸せに過ぎていくのであった。

(おわり)

さくら様。すみません。リクエスト、とか言いながら私の趣味ですね、これは。
甘いより辛いような。でも、普段の二人よりも何だか安定感があるのは、生活レベルの近さのせいでしょうか。本当に失礼しました。

from past log<2009.1.12>
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック


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