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今日のきみとぼく
源岬への愛だけで構成されております。
ある遭遇
※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。

「ごめんなさい」
謝って来た相手の顔を、若林は凝視した。色白の整った顔には、今まで見覚えがない。それでも、飛んできたボールはスピードがあったし、試合前で張り詰めた若林でなければ、取れなかっただろう。それを思えば、特訓の甲斐があったと自然に笑いが込み上げた。
「お前、誰だ?」
次には、相手への興味が沸いて来た。これだけのシュートを撃てる、知らない子がいるというのは聞いたことがない。もっとも、翼の例もあるので油断はできないと思った若林の問いに、初対面の相手はにっこりと微笑んだ。
「僕は岬太郎。今度引っ越して来て…」
その笑顔は思ったより可愛らしく、若林は目を奪われた。黒目がちの大きな目は光を封じ込めたまま、くるくる動く。笑顔につられるままに若林は何歩か足を進めて近付き、ずっと身長の低い相手を見下ろした。
「修哲に、か?」
近くで見ても可愛い、と若林は思った。ふんわりと柔らかそうな白い頬と、わずかに開いた唇の描く曲線に何故かドキッとした。まっすぐに見上げてくる相手はやはり小さくて、たぶん年下だろうと若林は思った。
「ううん、南葛に…」
即答されて、興味を抱いた分、動いた感情は憤りになった。若林は思わず手にしていたボールを力強く投げ返した。
「えっ…?」
さっきまで笑顔だったのに、急に不機嫌そうにボールを投げ返してきたことに、岬は戸惑った。その相手がさっさと背を向けて立ち去ったことも。修哲小学校に向かっている途中なので、わざわざ呼び止めることもない。
「…でも、すごかったな…あのキャッチ」
どこの中学生なのかは分からないけれど、すごい選手だと岬は思った。ボールをぶつけられそうになっても、笑顔を向けてきた懐の深さも、その笑顔も、深く胸に染みた。突然、立ち去ってしまったのは、訳が分からないけれど。
「…もう一度、会えるかな?」
この町に来てから、ワクワクすることが続いている。次は、どんなことが起きるかと思えば、何だか落ち着かなくて、じっとしていられない。
「…修哲小はこっちかな?」
南葛小学校で教わった道筋をたどり、岬は走り出した。

(おわり)

拍手ありがとうございます。
アニメで源岬の遭遇シーンがありました。
・ボールをぶつけられそうになったのに、笑顔の若林くん
・若林くんの名前を聞いて驚いて見える岬くん
(悪評とのギャップに驚いているようにも思えたので、好感を抱いているのではないかと解釈できる)
・不機嫌で現れる若林くん
という要素から、あまり考えず、シンプルに書きました。
これからどうオリジナル要素が入るのかは分かりませんが、違う部分はもちろん原作優先でいきたいと思います。
美味しいところどりも、もちろんします。
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