※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。
本日も xxx-titlesさまよりお題をお借りしています。 お題一覧はこちら 三年間音信不通だった岬が西ドイツまで尋ねて来てくれて、一日が経つ。
雑誌で見たから、と軽く言ってくれるが・・・俺が心配しなかったと思っているんだろうか。翼からの手紙には毎回岬を案じる言葉が並ぶ。それに対して返事を書きはしないものの、岬の所在を知りたい気持ちは決して劣るものではなかった。 「まさか、フランスに来ていたなんて」 渡欧の時期を聞くと、そう遠くはなかった。そして、それはそのまま俺が岬を気にかけていた時間。翼から他の連中の話、大会での得点や布陣まで報告を受けるため、記憶の中でも成長を続ける他の連中と違って、時が止まったままの岬。だから、岬と再会した時は衝撃を受けた。 「うん、僕も予想しなかった」 木々の間を抜けて、風が通る。さらさらの髪を風に乱された岬が、どこか悪戯っぽく微笑む。表情の豊かな瞳は昔の印象のままなのに、いっそう大人びた微笑で乱されたのは俺の心の方だった。
昨日はそのまま岬は俺の家に泊まり、今日は肉じゃがをご馳走してくれた。糸こんにゃくはなかったものの、誰かの手作りの料理、というのは、チームメイトの家に招待されて以来のことで、俺の為に作ってくれたのが岬ともなれば、喜ぶなというのが無理な相談で。 「若林くんって、すごく食べるんだね。・・・ちょっと、びっくりしたよ」 目を丸くした岬にからかわれる位、美味しかった。 「肉じゃがなんか、久しぶりだからな。何か懐かしくて」 旨かったと強調すれば、他のことまで口走りそうだ、と俺は見上げてくる岬の目を見つめる。優しくて深い瞳には、嘘をつけなくなりそうだった。 「ありがとう。他の人が、僕の作ったものを喜んで食べてくれるなんて、すごく嬉しい」 目を奪われたら、もう目が離せなくなる。岬の微笑みに、もっと喜んで欲しいと思った。
「っ痛」 せめて、後片付けだけでもと食器を片付けていた時だった。少し欠けていた縁に指が当たり、少し切れたらしい。隣で食器を拭いていた岬は素早く駆け寄って来ると、俺の指をくわえた。 「みさ・・き?」 とっさに消毒してくれようとしているのだと頭では分かっていても、気持ちがついていかなかった。一瞬の強い緋色と、少し白く見える岬の額。俺が呆然としている間に、何の躊躇もなく指をくわえた岬に、俺は感動していた。 「向こうに、絆創膏あるから、手当てしてくれないか?」 何とか、それだけの言葉を、混乱した頭で搾り出した。
血が派手に出た割りに、傷はそう大きくはなかったらしい。岬はてきぱきと治療を済ませて、俺の指には絆創膏が貼られた。 「ごめんね、とっさだったから、舐めたりして」 少し頬を染めた岬に、ことさらに言われて、俺は指を舐められた時のことを思い出した。指先にも柔らかい舌の感触と、熱さ、が頭の中に蘇る。 「ありがとう。岬が心配してくれて嬉しかった。だから」 絆創膏を貼られた指で、岬の手を掴み、引き寄せる。手を握られたまま、心配そうに俺を見やる岬。そんな、心配することなんかないのに。 「今後、お前が怪我したら、唾液で消毒してやるよ。・・・舐めていいだろ?」 真意は伝わったに違いない。お前が俺を心配したように、俺だってお前が大事で、心配で。黙秘権を行使した岬の白い指先に、約束のキスをした。
(おわり)
拍手ありがとうございます。 指を舐める話、1週間に2回目。何やってるんだか。 これ書いている間に、3回は居眠りをしました。
拍手お礼: さくら様。いつもありがとうございます。 ドイツの冬、厳しそうです。実体験をもってのお言葉、ありがたく拝聴いたしました。 アツアツですが、常夏、というより常春かな、と。 どこにいるか、より誰といるか、で幸せになってくれれば嬉しいんです。
拍手のみの方もありがとうございました。 相互リンク効果で、拍手をたくさん頂きました。 (さくら様のところもだそうです。嬉しい!) これからもよろしくお願い致します。
from past log<2009.1.11>
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック
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