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今日のきみとぼく
源岬への愛だけで構成されております。
エトセトラ
※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。

「ん、どうかしたか?」
僕の視線を感じたのか、若林くんは振り返った。付き合う前からも、付き合ってからもこうして一緒にいるのに、目が合うことにまだ慣れない。
 目が合う度に、若林くんは嬉しそうに口元を緩め、目を細める。その何でもない表情がどうにも男らしくて、いちいち胸の鼓動が跳ね上がる。
「何でもないよ」
一緒にいると、言葉に詰まる。自分の言葉の拙さが辛くなる。

 伝えたいことはたくさんあるのに。

 僕は、いつからこんなに不器用になったんだろう。自分の想いすら、伝えられないほど。
「何でもないって顔じゃないぞ」
自分の戸惑いも隠しておけなくなったほど。顔が赤くなっているのは分かっていたけど、熱はないから、額に手を当てるのはやめて。
「熱はないみたいだな」
大きな手で優しくおでこを包まれて、そんなに顔を近づけられたら、熱がなくても逆上せそう。
「大丈夫だって…」
若林くんに笑ってみせるけど、多分目も潤んでいるはずだ。だから、これ以上…。

「よっ、と」
若林くんは僕をみつめ、そのまま抱き上げてしまった。顔が近いし、いわゆるお姫様抱っこだというのに、途端に笑えてきた。
「あはっ何その掛け声!」
同い年だというのに、むしろ僕より七ヶ月も年下なのに、若林くんのすごく素敵な声の、ちょっと変な掛け声に、あっという間に緊張は解けた。
「悪かったな。でも、大丈夫そうで安心したぜ」
確かに、自分でもものすごく失礼だと思う。でも、かっこいい所も、それほどかっこよくない所も、かっこよすぎる所も、全部、僕の好きな若林くんだ。
「…好きだよ」
世界一頼りになる腕にしっかりと掴まって、寄り添った。伝えられる言葉は少しだけ。口にできない想いはエトセトラ。

「…とりあえず、このまま俺の部屋で詳しく話そうか」
一拍おいてから、おもむろに囁いた若林くんに、これは余計なことまで伝わったらしいと思う。
 前言撤回を申し出た僕に、若林くんはとても魅力的な笑顔で、寝室に運んでくれたのだった。


(おわり)

拍手ありがとうございます。
五十音の「エ」が思いつかず、これになりました。
「えっち」にすればよかったと後悔しきり。
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