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今日のきみとぼく
源岬への愛だけで構成されております。
地学用語
※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。
今日は、同級生設定の二人で。

「バン・アレン帯?」
「はあ?」
いつもの部活の帰り、いつもの帰り道で。耳慣れない言葉を返した岬に、若林も思わず聞き返す。
「地学で習ったよね?地球を取り巻く放射線帯のこと。ドーナツ状になっていて…」
「聞いたことないぞ。地学も取ってないしな」
若林が口を挟まなければ、バンアレン帯についての講義は続いたに違いない。すらすらと続ける岬に、若林が言えば、岬は気にする様子もなく続ける。
「中学の理科でも習ったと思うよ?」
「だからそうじゃなくて」
滔々と説明されても困るのだ。若林が、サッカー部の日誌提出の間下駄箱前で待たせてまで、岬と帰りたかったのは、天文分野の知識を深めるためではない。
 焦れた若林の声に、岬は急に歩調を落とした。思わず足を止めた若林を見上げてみせる。
「うん、バレンタインだよね?」
「ああ」
笑顔で聞き返され、今までからかわれていたことも忘れて、若林は頷いた。岬がこんな近くで、笑ってくれているだけで、いたずらも嬉しくなる。
「チョコレート要る?」
「あるのか?」
「家に徳用が」
「じゃあ、もらいに行く」
「…お茶請け用にスーパーで買った徳用だよ?」
「もらう」
言い出したら聞かない若林に、岬は「じゃあ、仕方ないね」と手を伸ばした。
 赤くなるのをごまかして、はぐらかした。ドキドキする想いに気付かれないように、昨日理科便覧で調べておいた知識を披露した。家でお徳用チョコなんか買ったことはない。他のチョコレートは気恥ずかしくて手が出なかっただけだ。それでも良いと、若林が言ってくれた。軽くなった岬の足は弾む。せめて、美味しいコーヒーを添えてあげようと、岬は思った。

(おわり)


拍手ありがとうございます。
バレンタインの初々しい二人を。

以下、拍手お礼
ゆん様、コメントありがとうございます。
本当に短文って難しいですよね。そう見えませんが実は苦労しましたので、源岬が詰まっていると言っていただき、本当に嬉しいです!

拍手のみの方もありがとうございます。励みになります。
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