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今日のきみとぼく
源岬への愛だけで構成されております。
年上の威厳
※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意下さい。


「あれ?」
鍵穴に鍵を差し込んでも、手応えはなかった。部屋の鍵がどうやら施錠されていないと気付いて、僕は首を傾げた。昔から鍵っ子だったから、鍵を掛けて出るのは習慣づいている。朝練で急いではいても、無意識で施錠の確認をこなすほど。
 父さんが帰って来るのなら、事前に連絡をくれるはずだ。もっとも、日本に帰国してからは高校生の息子が身の回りのことを一人でできるのを見越して、ほとんど帰って来ないけど。
 ましてもう一人、合い鍵を渡した相手が来るなんてことはありえない。その相手、若林くんは遠く離れた異国にいるんだから。

 若林くんとはお互いの部屋の合い鍵を持っている。僕が日本に帰ってから、年に一度位しか会えなくなったけど、未だ恋人関係は続いている。

「…君はきっと僕のこと忘れるよ」
「まさか。付き合ってから、どんどんお前のこと好きになって困ってるんだぞ」
いつもよりも深刻な口調で話す若林くんに、別れ話を切り出すはずだったのに、つられて笑ってしまった。どうして、こんなに楽しくて仕方ないんだろう。一瞬一瞬がきらきらと輝くようで、とても手放せない。
「こんなに好きにしておいて、今更別れるとか言うなよ」
それは僕の台詞だと、抱きしめられた胸の中で思った。若林くんの腕に添わせた指に、つい力が入った。離さないで、と告げられない僕の唇の代わりに。

「ただいま」
父さんがいてもいなくても、そう声をかけるのが、僕の子どもの頃からの習慣になっていた。独りの部屋に帰ると思うよりはずっと良い。
「お帰り」
ドアを開けて、そこに置かれた靴に気付くのと同時に、満面の笑顔の本人の出迎えがあった。
「若林くん!?」
驚きのあまり声を上げてしまった。抱きしめられてからも、しばらくは夢じゃないかと思った。
「どうして!?」
何とか発した言葉は、まるで責めるような口調になった。嬉しいよりも前に、信じられない気持ちばかりが先に来る。
「ビザの切替な。びっくりしたか?」
「来るなら、先に言ってよ」
そう言いながらも、後悔する。こんなことを言いたい訳ではないのに。来てくれて嬉しい、とか会いたかったとか、そんな言葉で何より笑顔で迎えたいのに。だけど、見上げた若林くんはやはり笑顔だった。
「じゃあ、俺の作戦は成功だな。岬、お誕生日おめでとう」
素直になれないのは、どうしても壁を作ってしまうのは、臆病な僕の防衛本能だ。それなのに、若林くんには通用しない。あっさりと、裸にされてしまう。
「ありがとう…会いたかった」

 誕生日に何が欲しいか聞かれて、僕は答えられなかった。何でも良いよ、と答えた僕に、若林くんは困ったな、と一言呟いた。
 期待していなかっただけに、余計に嬉しくて、包まれた腕の中、厚い胸に顔を埋める。
「誕生日プレゼント、どうしても思い付かなくてな」
「それで来ちゃったの?困った若林くん」
困った僕。ビザの切替なんて急に来る訳ないのに。若林くんの嘘も無理も、嬉しくて仕方ない。
「どうしても、一つ大人になった岬に会いたくてな」
大人なんてとんでもない。君との月日を重ねるごとに、僕は寂しがりになって、甘えっ子になって。
「それで、大人になった僕は、どう?」
年上ぶって聞いてみると、若林くんは一旦腕を離し、僕をしげしげと眺めてみせた。
「相変わらず意地っ張りだけど、相変わらず可愛いな」
およそ年上に対する尊敬も何もない感想に、ちょっと悔しくて、でも嬉しい。若林くんの愛情表現はいつもストレートで、僕に対する愛情はそんな言葉で視線で十二分に伝わってくる。
「でも、可愛いって言うのはちょっと」
「本当に可愛いんだから、仕方ない」
可愛いと言われる恥ずかしささえ吹っ飛んでしまうほど、甘い甘いキスで、僕の誕生日会は幕を開けた。

(おわり)

岬くん、お誕生日おめでとうございます!!いくつになっても、あなたは天使です!
今年こそ、若林くんとの結婚発表楽しみにしています!(その前に、移籍が先ですが)

3日になってしまったので、イベント会場でちまちま書きました。
お昼は「源ちゃん」というお店で食べて来ました。食べ過ぎた。

おりょう様もお話を送って下さるそうなので、できたらあと一つ位書いて、拍手文更新して、で今年のお祝いとしたいと思います。頑張ろう。
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