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今日のきみとぼく
源岬への愛だけで構成されております。
お題:「意外とちっちゃいね」
※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。

本日も xxx-titlesさまよりお題をお借りしています。 お題一覧はこちら

 久しぶりに日本に帰って来て、日本で正月を過ごす翼と若林を囲んで初日の出を見に行く企画が開催された。
 発案者はもちろん石崎で、言わずもがなの元修哲メンバーを中心とした南葛飾SC、それに南葛OBも参加である。そして、ジュビロ磐田のチームメイト岬太郎は、出欠の返事を出す前に参加扱いにされていた。
 何しろ、行先は磐田市の福田海岸で、これで岬が来ないとなれば、二人のゲストの猛抗議が予想される。

「じゃあ、岬も車出してくれるよな」
練習後に切り出す石崎の言葉に、岬は苦笑した。
「僕のビートルじゃ、誰も乗ってくれないよ」
元々時々様子を見るという口実の元、遊びに来る妹の為に置いているような車で、頑丈で利便性も良いが、大人の男を乗せるには小さい。ましてや、彼らの友達のサイズを考え、浦辺と石崎もため息をつく。
「まあでも、岬も南葛まで行くには足要るだろ?」
浦辺の言葉に、岬も納得して頷いた。

 しかし、意外にも大晦日当日岬の車は人気を博した。
「えー、岬くんの車に乗せてくれないの?」
仲間内で唯一の妻帯者で父親であるはずの翼の駄々に、岬は早速閉口した。
「この車僕が乗るだけで精一杯なんだけど」
「うん・・・意外とちっちゃいね」
しかし、天下の翼の言葉である。仕方なく頷きかけた岬に、横槍が入った。
「俺だって、岬の車に乗りたい」
それは無理だろう。若林の言葉に、誰もがそう思った。2ドアの小型車であるため、助手席くらいしか座れそうにないのに、希望者が2名。しかし、天下の若林が退く訳もない。
「じゃあ、岬は俺の車に来いよ。翼も。岬の車はうちに置いておけば良いから」
若林の車、はもちろん泣く子も黙るメルセデス・ベンツである。この黒塗りの車にサングラスの若林が乗っている時点で、おかしな連中にあやをつけられる心配はまずない。かなり安全な車といえた。
「えー、若林くんってレーサー並ですごい運転だって聞いたよ。愛する妻子が待ってるんだから、そんな車いやだな」
あやをつけたのは翼だった。岬が翼に話したのは、ドイツに遊びに行った時に、運転のうまかった若林の話。アウトバーンの制限速度のない区間を、すいすいと車を走らせた若林を賞賛してのことだった。それを捻じ曲げたような翼の言いっぷりに、三人とそれを見守るの空気がどんどん冷やかになっていく。
 そして、こういう場合に事態打開にまず動くのは若林である。
「井沢、お前エルグランドだったよな?」
「あ、はい」
突然、白羽の矢の立った井沢がぴくり、と肩を震わせる。
「悪いけど、運転代わって、翼を乗せてやってくれ」
確かに大きな車に乗っている。免許のない者もいる為、キャンプなどアウトドア好きの井沢の車にお呼びがかかったのだが、それがこんな事態を招くとは。
「いや、ダメですよ。俺のエルグランドでみんな運ぶんで」
「じゃあ、森崎は?高杉は?」
メルセデス・ベンツのSクラス車を平然と借りられる訳がない。井沢は即座に断り、同じく運転手役の二人は慌てて首を振った。
「じゃあ、俺が運転しますよー」
手を挙げたのは、新田だった。彼の怖いもの知らずは、成人を迎えた今も未だ健在である。
「俺が嫌だ。若島津の弟子だろ、お前?」
しかし、出る杭は打たれる。年上に対して、更に生意気だった若林は、他人の生意気を甘受する人間ではない。
「いや、でも岬さんの後輩ですよね、先輩♪」
自分を甘やかさないものの、大好きな先輩にウインクを向ける新田のアピールは逆効果というよりない。若林はむっとして、冷たい口調で言い放った。
「というより、お前浦辺の後輩だろ?とにかく、俺がよく知らない奴はいやだ」
相変わらず子供なところの残る世界のSGGKに、周囲は言葉を失う。大晦日の若林邸の駐車場。確かに、他の人間はいないにしろ、このやりとりは寒すぎる。
 身体の芯まで冷える気がして、岬はため息をついた。こうなると自分が出ざるを得ないのを岬はよく知っている。
「じゃあ、若林くんの車、僕が乗って行くから、二人は僕の車使って」
若林の手の鍵を奪い取り、代わりにビートルの鍵を翼に投げて寄こすと、岬は歩き出した。
 相変わらずだ、と南葛高校出身者は青ざめる。いざという時に岬は冷たい顔で裁定を下し、物事をさばいてしまう。
「岬、それじゃ意味がないだろ!」
「岬くん!」
そもそも二人とも、岬の運転する車に乗りたいが為に、駄々をこねていたのだ。その岬にへそを曲げられては元も子もない。
「じゃあ、俺の車で三人で行こう、な?」
「俺、安全席に座るから」
岬の肩を両側から抱く二人に、同窓生達はあっけにとられた。日本の誇る天才達の関係はどうも凡人には理解しがたい。

 大方の予想通り運転のうまい岬に、助手席に座った若林が嬉しそうに横を向く。話すよりも、岬の横顔を眺める若林に、翼がにやにや笑う。
「岬くんって、運転もテクニシャンって感じだね」
翼の言葉に、若林も頷く。発進もブレーキングもスムーズで、ベンツだけあって、快適そのものである。
「他の奴らもこっちに乗ればよかったのにな」
「そうだね」
「きっと三人でこうやって話すことも珍しいから、みんな気を利かせてくれたんだよ」
岬の言葉に、二人がにこやかに同意した。

 しかし、他の車ではもちろん、あのベンツだけは乗りたくない、という意見で全員一致していたのであった。

(おわり)

拍手ありがとうございます。

運転中に思いついた話です♪
岬くんは経済的に軽かな?とも思ったのですが、あえて頑丈な車、かつドイツ車で。とにかく小さい車に乗りそうです。井沢くんはレガシィかエルグランドだと最初に決めていました。若林くんのベンツは誰もが予想することですね、はい。
 他の人の車も一回は考えたのですが、そっちメインになりそうなのでやめました。

本年最後の更新です。
ブログ開設以来四ヶ月大変お世話になりました。来年もよろしくお願いいたします。精進したいと思ってはおります。

皆様よいお年を。

管理人:真

from past log<2008.12.31>
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック


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