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今日のきみとぼく
源岬への愛だけで構成されております。
SAISON
※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。

春夏で 恋をして
秋冬で 去ってゆく


 思い返せば、いつもそうだった。

 岬は夏の前に俺の前に現れ、やがて去って行った。

 一緒に過ごした季節は短かった。だが、鮮烈だった。岬が目の前に現れてから、俺の世界はみるみる変わっていった。世界がまるで輝きを増したかのように。

 俺が変わったことを指摘したのも岬だった。元々親しい仲間にすれば、戸惑う気持ちの方が強かったのもあったのだろうが。
「若林くんは、強くなったね」
「そうか?」
聞き返すと、岬は年よりは幼く見える可愛らしい顔に、いつものように大人びた笑みを浮かべた。岬は時々そういう表情をしていることがあり、子供の中に混じり切れない俺にはどこか共感できた。岬もそれを知っていたのか、秘密めいたほのめかしをすることもあった。そんな時の岬は、いつもより少し幼く笑っていたりしたのだが。
「…みんなでするサッカーは楽しいよね」
岬の言葉通り、チームプレーの楽しさを気付かせてくれたのは、岬だった。チームプレーでなければ、翼と岬には勝てない。1+1は2でも、一人と一人は2の力だとは限らないと、岬は教えてくれた。
「そうだな。そういう意味では、強くなっただろうな」
笑顔で頷く岬の顔を、まともに見れそうになかった。仕方なく俺は、キャップの鍔を下ろした。

 その短い夏は、恋に落ちるには十分な長さだった。


 岬が再び俺の前に現れたのは、三度目に巡ってきた春のことだった。春と夏の間のような、草が萌え木々の伸び行く季節に、岬は俺を訪ねて来た。

 会える予感がなかったといえば、嘘になる。サッカーを通して、いつか再び巡り会えると信じていた。それが、こんなに早く、しかも岬から来てくれるとは、思ってもみなかった。

「岬は変わってないな」
「これでも背は伸びたんだよ」
不服そうに言う岬に、印象が不思議なほど変わらないのだと言いかけてやめる。背は伸びても、男臭さを感じさせない、華奢で繊細な風貌、優しい顔立ち、何より風のように捕え所のない雰囲気。岬の存在は、俺にとっては特異なものだった。
「そうみたいだな」
そこに居るだけで絵になるような横顔を眺める。春夏の太陽の下で見るには眩しくて、秋の空の下なら、まっすぐに見つめて好きだと言えるのだろうか。
「若林くんこそ、変わってないね」
ニコッと岬は笑ってみせた。その優しい笑顔は、見る者を魅き付けずにはおかない。
「そうか?」
昔、俺が変わったと言ったのは岬だった。岬の言葉が気になって、心ごと耳を傾ける。
「…相変わらず、強い瞳をしてるんだね」
そんなに見てしまっていたかと思って目を逸らすと、岬は俺の手に指を絡めて、視線を合わせて来た。岬の大きな目は近くで見ると、更にきれいだ。
「初めて会った時から、そう思ったよ」
指も視線も絡み合い、そのままもつれた。見つめ合う瞳の奥に、未だ見ないものを知った気がして、忙しなく抱きしめた。
「初めて会った時から好きだ」




 若林くんと出会った日のことは忘れない。
 いつもはそんなことはしないのに、道端でシュートをした。たしなめられて本当に恥ずかしかったけれど、怒られても当然のことだった。簡単にキャッチされたけど、自分では頑張ったシュートだった分、余計に若林くんは印象的だった。
 それだけでも印象が強いのに、その日は対抗戦に参加することになり、翼くんと初めてコンビを組んだ日、若林くんと初めて対戦した日になった。…忘れられる訳がない。

 いつものように、季節ごとに通り過ぎるだけの町だと思っていた。でも、そうじゃなかった。いつまでも僕の心から離れない場所、人々。

 隣の国に、若林くんがいると知ったのは偶然だった。それでも、僕には偶然に思えなかった。若林くんは南葛の象徴のような存在で、その思い出は、自然にあの夏に繋がっている。
 若林くんに会えたら、またあの奇跡のような季節が蘇る、そんな期待が胸にあった。あの日、若林くんに会ってから、僕の世界は彩りを増したのだから。

「岬は変わらないな」
変わらない優しい口調で若林くんは言う。会ってすぐ、まるで三年前に戻ったかのように、僕達は笑い合った。若林くんとの友達関係は不思議だ。同級生でも同じ学校でさえなかった。ほとんど話すことさえなかったのに、常に共感できる空気があった。
「若林くんこそ変わってないね」
意志の固さが出ている表情に、深くて強い瞳。顔も三年前よりも大人びて、同い年とは思えないほど、背も高くてたくましくなっているのに、その強い眼差しは変わらなくて、ひどく懐かしい気がした。

 何も言わなくても、若林くんはきっと分かってくれる。そんな確信が心の中にあった。僕の中に潜む戸惑いさえ、若林くんは形にしてくれて、受け止めてくれる。
 きっと、何度会っても、同じ印象を抱きそして、恋に落ちるのだろう。

「僕も好きだよ」

(おわり)

拍手ありがとうございます。
やたら忙しいので、書くのがゆっくりになっています。
ストックがたまっているので、問題ないのですが。

最近、某アイドルグループの歌にはまりまして。秋本世代で、一番好きなアニソンも秋本ソングなため、時々琴線に触れることがあるのですが、今回はストライクで、シュートが決まってしまったような感じです。
それで、ヘビロテで見てしまっている公式PVをイメージして書いたわりには、原型も残っておりませんので、OKかと。
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック


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