※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。 「若林くん、アイス食べるの苦手?」 岬が首を傾げるのも無理はない。一緒に食べ始めたアイスだったが、アイスクリーム頭痛もあって、攻めあぐねている俺をよそに、岬は平気な顔で食べてしまった。そして、俺が苦戦しているのを眺めている。 こんなに冷たいくせに、アイスは溶け始めている。慌てて下の方を舐めたのがいけなかったらしい。 「あ、こぼれるよ!」 岬はそう言うと、アイスの下の方を舐めた。ピンク色の舌が、俺の手の近くをかすめた。
先に食べ終わるまで、岬がアイスを食べる様子を見ていた。細い棒アイスを口にふくんだり、ペロペロ舐めたりする岬の動きに、つい目が離せなかった。 中性的できれいな顔をしているせいもあるだろうが、岬はいかにも清潔そうで、性的なことをあまり感じさせない。付き合っていて何だが、そんなことを口にしようものなら、嫌われるのではないかと恐れてしまう。
逢う度に恋情は強くなり、フラストレーションは溜まる。恋人特権でどこまで許されるのかも掴み損ねたまま、触れることすらできずにいる。
岬は俺の手に細い指を添えて、手首まで流れたアイスを舌先でつつと舐めた。舐め上げて、ちらりと見上げた目は、見たこともない色をしていた。 岬の舌はそのまま俺の手の平をたどり、指の根元まで舐めて来た。伸ばした舌だけではなく、柔らかい唇が時々当たるのが、どうしようもなく気になった。
岬にしたら、他愛のないいたずらのつもりなのかも知れない。俺の指に舌を絡めて、白いアイスを舐め取る動作に、ちゅっという水音が混じるのが、アイスの冷たさを上書きするような、温かい唾液の温度が、俺の頭を一気に逆上せさせた。 「岬」 唇に飲み込まれていた指を引き抜き、そのまま奪うように唇を合わせた。指に絡まっていた舌は、まだアイスの味がした。
数度キスを交わす間に、アイスはすっかり溶けてしまった。 岬はキスしたことを咎めたりしなかった。 「もう、ベタベタだよ」 俺に背を向けて、岬は濡らしたおしぼりで腕を拭き始めた。アイス塗れの手で掴んだせいで、岬の腕はベタベタしているようだ。 「舐めようか?」 岬に睨まれることは承知の上で尋ねた。白くてしなやかに伸びた腕は、アイスの味がしなくても、甘そうだ。 「遠慮しておく」 睨む代わりに、小さく呟いた岬の横顔は赤い。誘うような目で、俺の指をくわえていたのに。 あの舌を、あの味を、もっと知りたい。 「それよりも、キスがしたい」 畳に引き倒したおかげで、岬の顔がはっきり見えた。頬を赤く染めて、岬は俺を見上げていた。 「僕も、ずっとそう思ってた」 いつもはまっすぐに俺を見る瞳が、今は少し潤んで見える。僅かに開いた唇はまだ湿っていて、俺は思わず息を飲んだ。キスをしたかったと岬も言ったが、俺がその先も欲しているとは思ってはないだろう。 岬の気持ちが溶けない内に、キスだけでも、もう一度。味覚を感じる味蕾は舌の先。キスの甘さは、頭を蕩かす。 その甘さに負けて、岬の顎に手をかけた。
(おわり)
拍手ありがとうございます。 少し暑くなった時に書いたものですが…すっかり寒いです。 せめて今のうちに、と出したのですが、やっぱり寒いです。
最初、甘みを感じる味蕾は舌の先に、と書いてから調べたら、今はその説は否定されていると知りました…。 不勉強が堪えます。
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック
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