※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。 同棲シリーズ 若林くんの家で暮らすようになってから、何枚目かのカレンダーをめくる。 僕が持って来たカレンダーはポスター代わりにして、若林くんと共用のカレンダーを使っている。隣の国ではあるけど、休日なんかは違っている。郷に入れば郷に従え。やっぱりその国のカレンダーが便利だと、色々旅行する中で思い知った。 それで、カレンダーを共用して、若林くんは黒のペンで僕は青のペンで予定を書くけれど、ほとんど同じ予定なので「〃」ばかり書くこともある。
一緒に住む前は、若林くんにはお酒を飲みに出る予定も多かったと思う。それがいつの間にか減って、どちらかが「〃」を書くばかりの日々になった。
不思議に思って尋ねると、若林くんは即答してくれた。 「ああ、断っているからな」 「何で!?」 いくら好きでも、チームでも家でも一緒だと気詰まりに思ったりしないんだろうか。僕はこの国の言葉がまだ十分話せる訳でもないし、若林くんがいてくれる方がありがたいけど。 「みんな、お前と飲みたがるからな。俺の分と一緒に断ってる」 悪びれもせずに答える若林くんに、呆れるしかない。 「どうして断るの」 「岬は酔うと、色っぽい顔するからな。飲みに連れていけない」 その後に付け加えられた補足は、まさに蛇足だった。それを聞いたところで、納得できるはずもない。 「君はそれで良いの?」 「何が?」 …愚問でした。今更お酒の席なんてなくても、若林くんは困らない。チームのみんなとは普段のやり取りからして楽しそうだし、カルツと話したくなったら、家に呼んでくれて、一緒にご飯を食べたりする。その時はお酒抜きだけど。 「他のみんなもそれで良いって?」 「それは問題ない。一度岬は未成年だと言ったら、みんな信じてくれてな」 「えっ!?」 絶句した。当然だ。自分で言うのも何だけど、僕はけっこう代表に選ばれている。若林くんと同じ時期に同じ代表に出ているんだから、同じ位だと分かりそうなもんだけど。第一、僕の方が半年年上なんだし。 「U19もU22も出てたじゃない」 「実力があるから、上の代表に呼ばれてるんじゃないか?」 白々しく言う態度に、そうやって丸め込んだのだと見当がついた。 「年齢も公表してるだろ!」 「見てないんじゃないか?俺もお前の年よりは身長とか体重の方が気になるし」 そう言って、人の腰を抱くのはやめてくれないかな。これでも、相当頑張って伸びたんだから。 「とにかく!これからは勝手に断らないで。…若林くんがいなくて、きっとみんな寂しい思いをしていると思う」 チームの新年会で、若林くんの周りから人が絶えなかった理由が分かった気がした。それなのに、若林くんは僕を抱きしめてくる。 「お前が寂しいよりはマシだ」 「僕は大丈夫だよ」 笑ってみせる。こうして一緒に住み始めてから、寂しいなんて感じたことはなかった。誰かとこんなに一緒にいるのは初めてで、確かに離れたら寂しく感じるかも知れない。 「…そういう顔をさせたくないんだ」 こんなことをさらりと言って、抱き寄せる若林くんには、やっぱり敵わないと思う。 「ありがとう。でも、そう思うなら、僕も一緒に連れて行ってよ」 寄り掛かった僕の髪を、若林くんは優しい手つきで撫でてくれた。 「…見せびらかしたくなるけど、良いか?」 髪を撫でる手つきは、あくまでも優しい。それなのに、呟かれた言葉は不穏当そのもので、僕は聞かなかったことにした。
(おわり)
拍手ありがとうございます。 未成年と思われている岬くんネタを思いついたので。
同棲シリーズ終わったら、次は数字に絡めた話をやります。 忙しくて体調最悪ですが、細々と更新したいです。 5月も休み取れるかな…。
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック
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