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今日のきみとぼく
源岬への愛だけで構成されております。
5日間の思慕(2)
※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。
2日目。(でも、大会は1日目)


 合宿の途中から合流したこともあって、イタリア戦の前半はチーム全体の様子を見るように監督から言われていた。ベンチで隣にいた若林くんが、ジノ・ヘルナンデスやチームの細かいことを解説してくれて、状況も分かりやすい。
 一緒に見守る中、点を先取されて、若林くんは本当に悔しそうだった。あのゴールを本当は守りたかったに違いない。
 日本が苦戦する中、監督から交代に入るよう言われた。僕は返事をした後、思わず若林くんを振り返った。
「お前の力をみせてやれ」
「うん」
背中を叩いてきた手は優しかったけれど、きっと万感の思いがこもっていたはずだ。「君の分まで」言いたい気持ちを抑えて前を向く。走ることでしか、伝えられないから。

 アップしながら、僕は南葛での対抗戦を思い出していた。翼くんと初めて組んで、若林くんと対決した。若林くん以上のGKはいない。翼くんもそう思っているはずだ。それなら、きっと。僕達は負けない。


「若林くん、大丈夫?」
大会一日目が終わって、グラウンドの隅で自主トレをしている若林くんに声をかけた。若林くんは、みんなの練習を見てから、自主トレをしているらしい。翼くんが一緒の時もあるが、今日は見当たらない。そのせいか、すごく怖い顔をしている。
 若林くんは僕の姿を認めて、その場に腰を下ろすと、手招きしてみせた。僕が隣に座る時には、若林くんは怖い顔から僕のよく知る表情に戻っていた。
「試合デビューおめでとう。さすがだな」
イタリア戦の途中から出場した僕は、ジノ・ヘルナンデスからゴールを奪い、試合の流れを変えるという役目を果たした。
「ありがとう。若林くんの励ましが効いたみたいだよ」
若林くんに見送られて出たことで、気負いは消えた。
「それは良かった。岬が途中から入って来るなんて、昔の対抗戦を思い出したぜ」
僕も試合の途中、何度もあの対抗戦を思い出していた。あの時は引き分けたけど、イタリアには勝てた。あの時の若林くんを思い出せば、不思議と負ける気はしなかった。
「翼くんにも言われたよ。勝てる気がしたって」
「俺はゾッとしたけどな」
若林くんは、夕闇でも分かるほど、楽しそうだ。試合の時は、辛そうで見ていられなかった。どうにか、その笑顔を守れて良かった。
「そんなこと思ってないくせに」
若林くんの応援する声は、よく聞こえた。翼くんと僕と。翼くんも若林くんから真意を話してもらったと聞いた。だから僕達は味方でいられる。
「応援ありがとう。明日も頑張ろうね」
立ち上がりざまに若林くんの肩を叩き、宿舎に向かおうとした。その時に、目が合った。
「岬」
若林くんは僕に手を伸ばして来た。その手を握り返す。
「ありがとうな。お前がいてくれて良かった」
若林くんの声に、僕の方が泣いてしまいそうだった。若林くんは強い人だから、自分が手を出せずに見ているしかできないことが、本当に辛いのだろうと思った。
「ありがとう。頑張るよ」

(つづく)

拍手ありがとうございます。
若林くんはチームで悪態をついていて、しかも合流してきた岬くんと仲良くしている様子もないのに、イタリア戦のベンチでは二人でイチャイチャ。前もって示し合わせていたとしか思えないのですが。これだから、源岬は。
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