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今日のきみとぼく
源岬への愛だけで構成されております。
冬の花火
※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。



「お正月に花火を見るなんてね」
岬が目を見張るのも無理はない。ドイツでは、正月に花火をする習慣がある。俺もドイツに来て初めての正月には驚いたものだ。
「日本の正月とは違うよな」
年末に大掃除を済ませ、テレビなんか見ながら、のんびりと過ごす日本の正月とはまるで違う。新年の挨拶を交わしてからは、二人して夜空を染める花火を堪能している。
「そうだね。こんなに賑やかだとは思わなかった」
そう言いながらも、岬の目は遠くで音を立てている花火に釘付けだ。日本の花火程華やかではないにしろ、空を彩る大輪の花は十分目を楽しませてくれる。
「呼んだ理由が分かっただろ?」
俺の言葉に、岬も笑いながら頷く。まあ、それだけでないのも確かだが。

 俺と岬とは、恋人関係にある。ドイツと日本でチームに所属しているため、なかなか会うことも難しいが、付き合っている。
 今回声を掛けたのも、単に花火を見せたかったというよりは、ニューイヤーを二人で迎えたかったという方が正しい。久しぶりの逢瀬は、雰囲気がある方が良いに決まっている。
「寒くないか?」
カーテンを開けているだけで、夜の冷気が窓に張り付く。部屋着の上から厚手のガウンを羽織らせているが、岬は寒がりだし、今日はいつもより冷える。
「おかげさまで、大丈夫。若林くんがいてくれるからね」
後ろから抱きしめている俺の腕に手を重ね、岬は俺の胸にもたれた。
「それは良かった」
変わったことは要らない。こうして二人で静かに過ごせる、何もない日が一番に思える。そう思えるようになるまで、色々あった。

 花火は徐々に静かになり、空にも町にも静寂が戻る。岬は満足した表情でカーテンを閉め切ると、振り返った。
「若林くん、今日のご予定は?」
「岬と寝正月の予定」
肩に手を回し、寝室を指差すと、岬は首だけ回して俺を見上げた。
「新年早々?」
ロマンチックな夜を過ごしたおかげで、少し困ったような表情でいつもよりやんわり咎める岬に、俺はその誤解は解いておくことにする。
「珍しく二人して夜更かししただろ?とりあえず横になるのが一番じゃないか?」
抱いた肩を軽く叩くと、岬は微笑みながら、寄り掛かって来た。
「確かに、そうだね。僕も眠い」

 まあ、一度誘い込んだら逃がすつもりなどないのだが。

 結局、ベッドから出たのは昼過ぎになった。

(おわり)

拍手ありがとうございます。
ドイツの年明け花火、というネタで。…どこが舞台でも、若林くんはゆるぎない、というネタにもなりました。

今年も一年お世話になりました。
来年もどうぞよろしくお願いいたします。
管理人:真
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