※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。 一緒にいると、若林くんは色々と言ってくる。 「こっちに来いよ」に始まり、「そんな遠慮しないで、隣座れよ」でそこからは途端に言葉が偏る。 いつもは雄弁だ。日本を離れた時期も早いし、僕のように日本人学校に通っていた訳でもないのに、若林くんは自分の考えを的確に伝えてくる。 「俺は、日本語でものを考えてから、ドイツ語に変換してるからな。お前みたいに、フランス語でも考えられるような器用な頭じゃないんだ」 若林くんはそう言うけど、ドイツ語もそれは流暢だ。 若林くんの話はいつも面白い。元々頭が良いのか、独自の視点もあって、聞き飽きない。それが、ふと途切れる。 「キスしたい」 までは言ってくれる時がある。 「寒くないか?」 と聞いてくれる時はまず間違いなく抱き寄せられる。 たいていは、 「触って良いか?」 から始まる。時々無言で触って来ることもある。そんな時の顔は、何というか、他の人に見せられない顔だ。すごく優しかったり、何だか嬉しそうだったり。僕のことが好きだと言っているけど、僕が嬉しそうなのが好きらしい。…僕も、若林くんが嬉しそうにしていると嬉しくなる。 若林くんの声が好きだ。優しくて固そうな雰囲気もあるのに、どこか甘い声に、いつもうっとりしてしまう。サッカー場での張り詰めた声も好きだけど、二人の時の声は、随分違っている。 抑え切れずに零れる自分の声を恨みながら、若林くんの声や息遣いに耳を澄ます。 他に経験のない僕は、若林くんがちゃんと気持ち良いのか、時々不安になる。だから、気持ち良さそうな様子が窺えると、たまらなくなる。 「気持ち良いぜ」 若林くんは、上気した顔で、荒くなった息で、僕の耳元に囁く。途端に、身体の隅々まで電気が走ったような感覚に襲われる。 「岬」 若林くんが僕の名前を呼ぶ時は、独特の響きがある。余韻がある。優しい空気が僕の周りに溢れる程、大切そうに呼んでくれているのが伝わって来る。 「好きだぜ」 何回も何回も耳に注がれる言葉は、それだけで強い刺激で、その度に溶けそうになる。こんなに与えられる言葉を愛を、どうやって返せば良いんだろう。
岬と会っている時は、よく「ダメだよ」と言われる。 たしなめるという動作にしては甘い声の響きと表情のせいで、止められているという気がしない。むしろ、それを言われると岬が意識していることを感じる。普段、そんなこと言わないくせに。 「何が、ダメなんだ?」 尋ねると、岬は言葉に詰まったのか、少し困った顔で俺を見返した。 「…意地悪」 そんな言葉のかけらさえ可愛くて、俺は耳を傾ける。そう多弁でもないが、いつもは静かに話を聞いてくれることの多い岬の穏やかな声が、甘い吐息や少し高い音色を奏でるのを味わう。岬が恥ずかしそうに、それでも快楽に悦ぶ姿に、もっと欲しくなって仕方ない。普段は凛としている岬が咲く姿を見せるのは俺だけで、もっと甘えたいし、甘えさせてやりたいと思う。 「…僕は大丈夫だから」 遠慮がちに伸ばされる手を握って、強く組み合わせる。しっかり心ごと抱きしめられていることを願いながら。
(おわり)
拍手ありがとうございます。 何となく、甘いめな二人が書きたくなったのですが、そうでもない結果に。
以下、拍手お礼。 くるみ様、いつもありがとうございます。 神様は何でもお見通し、の言葉が大ヒットです。ですよね~。 グルグルにも反応ありがとうございます。3回目のアニメ化で、最終戦まで行ってくれて、嬉しかったです。 爺ファンタジーも堪能しましたし。 再アニメ化の封神演義や、さくらちゃんのクリアカード編と、楽しみがいっぱいです。 そして、キャプテン翼!!!アニメから目が離せません。 本当に楽しみです。
拍手のみの方もありがとうございます。励みになります。
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック
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