fc2ブログ
今日のきみとぼく
源岬への愛だけで構成されております。
狭いホテル
※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。


「急だったとはいえ、ごめんね」
岬は部屋の惨状に、まず謝るしかなかった。
 連絡を忘れていた父親から急に連絡が入り、岬が父親の展覧会に行くことになるという、ドミノ的な展開の結果、予定を変更して、東京に泊まることになった。いつもなら、宿はたいてい若林が予約をしているのだが、今回ばかりは若林の手を煩わせるのが心苦しい岬が、予約を申し出た。
 ところが、折り悪しく旅行シーズンということもあって、ほとんど空きのない中、ようやく見つけたのは、安すぎて旅行会社の使わないようなビジネスホテルだった。
「ベッドは無駄に広いのに」
しかも空きがなくてダブル、ベッドが部屋の大半を占めている。更に、何故か中央に鎮座しているため、左右の通路が中途半端な有様だ。
「ツインで探したつもりだったのに、ダブルだったみたい」
落ち込んでいる岬に対し、若林がそれほど気にする様子もないのは、凹んでいてすぐに動けない岬を、逞しい腕でちゃっかり抱きかかえているからである。
「俺は構わないが」
若林はそう言うが、岬が父親から渡された荷物を置くと、そのなけなしの通路も塞がる。その結果、荷物を片付けたり、必要な物を出す度に、岬はベッドを経由せざるを得ない。そして、その度に若林に捕まる。
「だから、ラブホテルで良いって言っただろ?」
「君と二人でラブホテルって、目立つためのジョークにしか思えないよ」
岬がぼやくのも当然だ。若林ときたら、立派すぎる体格に、それを更に大きく見せる迫力、存在感。決して身長の低くない岬が小さく見えるような相手だ。
「男性同士だと入れても貰えないらしいよ」
その上、言うまでもなく、お互いの知名度が低くないと来ている。
「じゃあ、ここで良いんじゃないか?」
いちいちベッドを経由して抱きしめられて。そんなやりとりに疲れて、岬は自分を膝の間に挟み、抱きついている若林を振り返った。素直に非を認められる程、育ちは良くないと岬は自分でも分かっている。それでも、逐一抗うのは疲れた。
「…ごめんね、僕のせいで」
あっさり自分の信条を曲げる岬だったが、包容力の塊である若林の考えはもう少し深かった。
「いや、構わないぞ。…せっかく何もしなくて良いんだ。ゆっくりしてろよ」
食事も外で済ませた以上、後はシャワー位しか必要ない。いつもは、食事の後片付けや朝食の仕込みや、明日の用意に忙しい岬である。
「確かにそうかもね」
さすがの懐の広さに、岬の反抗心はなりを潜めた。うっとりした表情で、岬はおとなしく腕の中に収まり、求愛に身を委ねる。

 はずだった。

「…ゴムがない」
「だから、ここラブホテルじゃないから…」
若林は前言をあっさり撤回し、寝起きの熊のようにイライラしながら、1階のコンビニに行く羽目になった。戻るまで、お天気のように変わりやすい岬のご機嫌が損なわれていないよう祈りながら、猛ダッシュした。

(おわり)

拍手ありがとうございます。
夏コミで泊まったホテルが本当に狭くて。という話でした。岬くんが動けないのはデフォ。
スポンサーサイト



テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック


コメント
若林さん落ち着いて!
あなたが走る先は
ゴムのサイズの選べないコンビニではない!
駅前のドンキかマツキヨです!!!
[2016/08/16 13:01] URL | みちんたま。 #ntbreMG6 [ 編集 ]

うわ~本当ですね。
みちんこ様
コメントありがとうございます。
認識がまだまだ甘かったです。
無事買えることを祈りましょう!
[2016/08/16 22:18] URL | 真 #- [ 編集 ]


コメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する


トラックバック
トラックバック URL
→http://sukinamono11.blog63.fc2.com/tb.php/1295-05bb13d5
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)