あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。
※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。 今日は奇病にかかったーの結果に萌えたので、小ネタではなく、SSで。 「若林源三は左目から紫色の花が咲く病気です。進行すると感情が無くなります。愛する者の涙が薬になります」
「…本当だったんだね」 「…ああ」 岬を試そうと思った訳ではない。連絡した時には何度も聞き返してきた。だが、忙しいにも関わらず、3日後に駆け付けて来てくれたのは、ありがたかった。
最近遠征で行った地域で変わった病気が流行っていたらしい。念のためと診てくれたチームドクターは、俺が病気に罹っていることを知らせてくれた。 「左目から紫色の花が咲く病気です。進行すると感情が無くなります」 チームドクターに言われて、俺は我が目を疑った。だが、差し出された鏡を覗けば、確かに左目が紫に染まっていた。 「治せる薬はたった一つだけなんです。消毒薬なんかは出せますが」 勿体ぶるドクターを睨みつける。睨みが効いたのか、ドクターは割と早く口を割った。至極真面目だったが、俺は我が耳を疑わざるを得なかった。 「愛する者の涙が薬になります」
それからすぐに岬に電話をかけたが、岬は半信半疑だった。俺が奇病にかかったというのも、自分の涙が特効薬であるというのも、俺が岬を愛していることも。
「久しぶりだな」 玄関で出迎えた俺に、岬は懐疑の目を向けた。 「若林くんがこんなに紳士的に出迎えてくれるだなんて、信じ難いよ」
そして岬は俺の病状を知る。包帯を解いた俺の左目からは、花びらが肉厚のキクっぽい大輪の花が咲き、目を覆ってしまっている。 「…もう、進んでるみたいだね」 いつもなら、岬が来た途端にハグをしてキスを迫る。…分かってはいたが、身体が動かなかった。 「感情が無くなっていくと聞いている」 「…ほんと、君らしくないよ」 岬の目に涙が浮かぶ。岬は鞄からハンカチを取り出すと、濡れた目元に当てた。こうして右目だけで見ても、岬の目はきれいだ。澄んだ白目に茶色が滲み、どうやら涙が止まらないようだが。 「大丈夫だ。泣くなよ」 「だって…」 感情がすべて失われる前に、来てくれて良かったと思った。岬が泣く度に、残った感情が動かされて、愛していることを感じることができた。 「ハンカチどうぞ」 涙を染み込ませたハンカチを差し出す岬の手を止め、岬の頬に口付けた。頬を舐め上げて、まだ涙の残る目元に唇を当てる。 「…そんな感情が残っていたんだね」 「自分でも驚いた」
岬の涙を啜ってしばらく経つと、花は自然に落ちた。 「こんなに綺麗な花だったんだな」 「…似合ってたよ」 鮮やかな紫の花を、岬は戯れに髪に飾ってみせた。薄い茶色の髪に、紫色の花はあまりに艶やかで、ゾッとした。 「もし僕が同じ病気になったら、君に証明できる?」 岬は俺を見つめて微笑んだ。岬は自分の涙の効力に驚いたようで、花が落ちた瞬間に抱きついて来た位だ。 「そんな必要もないぜ。お前こんなに泣いてくれたもんな」 岬の涙を、今度は指で拭った。
(おわり)
拍手ありがとうございます。 新年早々のネタが奇病。小ネタで出すつもりが、結果に萌えまくって、書いてしまいましたんです。多分、3分の1も伝わっておりませんが。
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック
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