※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。 合宿所の自販機スペースに入って来た岬は、先に壁に目を留めた。 「蝶がいるから、ちょっとじっとしていて」 岬は壁に追い詰めた蝶を手の中に閉じ込めて、ベンチの後ろの窓から逃がした。 「お疲れ様」 一仕事終えた岬の背に、若林は腕を伸ばす。蝶を捕まえる一連の動作が、若林の膝の上で行われたため、若林としてはずっと抱きしめたくて仕方なかったのだ。 「ありがとう」 若林の肩に頭を預け、岬も一息つく。
いつものように岬の腰に手を回そうとして、若林は動きを止めた。向かい合うベンチに人がいるのに気付いたためだ。向かいに座っているのが三杉ともなれば、落ち着いてはいられない。若林の不自然な動きに、振り返った岬も三杉に気付き、釈明を始めた。 「三杉くん、さっき蝶を捕まえて…」 「うん、見てたよ」 どうやら最初からいたらしい。自販機の陰になって見えない席だが、三杉がいて気が付かないなど考えにくい。さては気配を消していたのかと若林が疑いの眼差しを向ける。 「今日は休日だから、公序良俗に反しない限り、咎める気はないよ」 三杉は冷静に言い放つと、携帯電話に視線を落とした。 休日ともなれば、合宿所にはいない三人である。それが、大雨で外に出ることも出来ず、合宿所に閉じ込められている。 三杉が二人の存在を気にしている様子はないが、それでも若林はじっとしていられなくなった。 「岬、俺の部屋に来ないか?」 「…君の部屋、森崎くんがいるよね?また追い出すつもり?」 理由をつけて森崎が追い出されるのは気の毒だった。その上、部屋に誘い込まれたら、合宿所でも何をされるか分からない。だから、人気のない自販機スペースを待ち合わせ場所に指定した岬だ。三杉と遭遇するのは予想外だったが。 「…やっぱり出かけよう!」 「えっ!?大雨だよ」 「タクシー呼ぶから、10分後に玄関前な」 若林が携帯電話片手に出て行き、岬が会釈して出て行くのを、三杉は黙って見守っていた。 さすがに若林くんは決断早いね、岬くんも何だかんだと言いながら、嬉しそうについて行くし…。弥生くんにラインで実況していたのに、早速ネタがなくなった、と携帯電話を隣に置く。 この自販機スペースは三杉のお気に入りだった。人の来ない、静かで一人になれる場所は、合宿所では貴重だ。 先に来た若林は雨の降りしきる窓の外を見遣って思案顔をしていた。後から来た岬は、その若林の肩のすぐ側にいる蝶を見つけて、若林の肩にもたれるように捕まえ、膝に乗ったまま窓の外に逃がした。ごく自然に膝の上に座り込んだ岬に、若林の腕も自然に支えるように伸びていった。 なかなか貴重なものを見た、と三杉は思っていた。二人の仲を知ってはいても、なかなか自然な様子を見ることはない。 「まあ、公序良俗に反する恐れはあったね」 合宿所で、久しぶりに接触した恋人に膝の上に乗られてしまっては、おとなしくしていられるはずもない。 「岬くん、無事に帰してもらえるかな…」 まあ、無理な話だろうね。三杉は苦笑混じりに、呟いたのであった。
(おわり)
拍手ありがとうございます。 今回は、DRAGON PUNCHERのみちんこ様のネタで「三杉くんの前で膝抱っこ状態の源岬」でした。(毎度、ネタの提供ありがとうございます) ここで、バカップルしねええとならないのが三杉くんの素晴らしいところであります。(門限破られたり、帰って来た岬くんがグッタリしていたら、そう思う時もありそうですが)
以下、拍手お礼。 アンソロジーの件で、コメント下さった方、ありがとうございました。 ご丁寧にコメントをいただいて、本当に嬉しいです。余り詳細な記事ではないですが、お役に立てたようで、良かったです。 C翼に戻って来られたとのことで、素晴らしい!こちらは源岬しか扱っていませんが、良かったらまたいらしてください。 拍手のみの方もありがとうございます。励みになります。
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック
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