※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。 ≪ヤンデレとは「愛しているがゆえに強烈な嫉妬や独占欲を覚え、パートナーを追い詰めたり傷つけたり」するなどの衝動的で異常な性格や行動パターン、およびその性質を持つ キャラクター を意味します。(同人用語の基礎知識より)≫
若林くんに好きだと言われた。付き合ってほしいと言われた。
僕が国境を越えて若林くんに会いに行ったのは、隣の国にいると分かった途端、どうしても会いたくなったからだった。若林くんのことを思い出した途端、小学生時代に好きになって、本当に好きだったことも甦った。日本を離れた時に手放したつもりの気持ちだったのに、残っていた根は深くて、再会した途端に育ち、気付いたら花が咲くようにもっと好きになってしまっていた。それからというもの、遊びに誘われる度に、嬉しくてときめいて、どうしようもない気持ちになった。 若林くんのことを考えるだけで、鼓動は跳ね上がり、幸せで胸がいっぱいになってしまう。胸の中に咲いている花は衰えることもなく、僕を覆い尽くす。でも、それが嬉しくたまらない。
「岬、好きだ」 ドイツに呼び出されて、若林くんの部屋で切り出されたのは、思いがけない告白だった。 「初めて会った時から好きだった。お前が会いに来てくれて、やっぱり好きだと思った」 言葉を選びながら、でも力強く言ってくれる若林くんに胸が震える。嬉しくて仕方がなくて、気持ちは舞い上がる。満開の花畑で、僕はその言葉を受け入れる。 「若林くん、僕も…ずっと好きだった」 そんな返事しか出て来ない自分がもどかしい。若林くんの送ってくれた写真はずっと手元に持っているし、若林くんのチームの記事も集めている。新聞に載った君のぼやけた写真も、切り抜いて保存した。若林くんは僕の憧れで、僕の誇りで、そして大好きなひと。 「岬」 彫刻のように逞しい腕に力強く抱き寄せられて、僕の心臓は飛び出てしまうんじゃないかと思った。若林くんの身体を通して伝わってくる自分の名前に、うっとりしてしまう。僕は若林くんの固い胸に夢見心地にもたれかかった。
「付き合ってくれ」 …途端に夢から覚めた。付き合うのは別だ。思いがけない若林くんからの告白に、嬉しくて仕方なかったけど、やっぱりそれだけはダメだ。 「あの…言っておくと僕と付き合ったらずっと束縛するよ?いつも声聞きたいし、構って欲しがるよ?」 「一途で可愛いんだな」 束縛に対し、それで済ませる辺り、若林くんは器が大きい。でもきっと誤解もある。 「そういうんじゃなくて…」 そこで言葉に詰まった。僕は人に依存してしまう。特別な人ならなおさらで、愛してほしい、と必死になってしまう。他の人と親しくしてほしくない、他の人に優しくしてほしくない、何より、こんな僕には若林くんはもったいない。 「俺は付き合う相手はとことん大事にしたいし、独占欲も強いぞ」 「…君のそれとは多分比べものにならないよ」 自分の闇をさらけ出すのは怖い。それでも、今のままなら、まだ友達ではいられる。咲き誇る心の花畑に篭って、いつまでも君を想って。 「僕のこと嫌いになってほしくないんだよ」 どう言ったら伝わるのか分からない。君のことを好きで、好きで、傷つけたくないのに、自分が信じられない。 「じゃあ、岬は俺のことどう思ってる?」 真剣な眼差しで、ソファーの隅に追いやられる。…逃げられないと思った。 「若林くんのことは好きだよ、でも…」 でも、とちゃんと言ったと思う。でも若林くんは気にした様子もなく、抱きしめてキスしてくれた。いやいや、だからね…。抵抗しようとした。でも、怖いほど必死な顔でキスしてくる若林くんに、何も言えなくなった。…もっと、キスしてほしい。 「岬…」 強く抱きしめて、体をまさぐってくる若林くんに、頭の中でまた危険信号が鳴る。 「ダメだよ…君は僕の表面しか見てないんだよ…」 好きな人に嫌われるのは辛い。誰にも嫌われないようにと普段振る舞っている。そんな僕の根底を見たら、きっと。 「…お前、自分で思ってるほど、作り笑いうまくないぞ」 若林くんはそう言いながらも、僕のシャツに手を入れて来ている。 これはもしかして。僕は慌てて身を起こそうとする。 「だって、お前も俺のこと好きなんだろ?早くほしいんだよ」 ほしい、の言葉を分厚い胸が反響させる。そんな甘い声で囁かれたら、僕は逆らえなくなる。 「きっと地獄だよ?」 「岬に追い掛けられるのが?天国の間違いだろ?」 若林くんは気にした様子もなく、僕にキスした。
嫉妬とか執着とか、束縛とか、甘いのは若林くんの認識だと思っていた。でも、甘かったのは僕の認識だと気付かされたのは、翌日引っ越して来るように言われた時だった。
(おわり)
拍手ありがとうございます。ヤンデレ×ヤンデレ気味の源岬で。 普段、書きやすさから、岬くん大好きな若林くんを書くことが多いですが、実際は若林くん・・・・・・・・・→←・・・・・・・・・・岬くんだと思っています。(その矢印比は10:11位ですが)岬くんのキャラはそれなりに振れ幅がありますが、若林くんはかっこよく書かないと、という謎のプレッシャーがあります。(書けていません。心がけてはいますが、残念イケメンとしてのブレなさだけが強調されている結果に) パラレルを書くことも多いのですが、うちの若林くんは岬くんを「許す」ことが多いです。パラレル含めると相当やらかしている岬くんですが、若林くんはたいてい許しています。「離れる」「いなくなる」以外は。 逆に、岬くんは「許さない」キャラとして書いていることが多いです。岬くんの心の中には、理想の若林くん像が厳然とあって、それに反することをすると許さない、という反応が出てきます。ですので、自己評価が低い分、自分なんかを愛している若林くんが許せない、と思っていたりします。若林くんの幸せのためなら身を引いても良いとも思っています。若林くんはそんな岬くんが不憫可愛くて、ますます手放せなくなります。岬くんの自己認識はともかく、自分のことを好きで、自分が愛しているのは岬くんだとちゃんと認識しているからです。そして逃げ出すと怒る。 どっちが非寛容なのか分かりませんが、もう勝手にしやがれ、と時々思います。まあ、勝手に書くんですが。 そのうちに、順応力の高い岬くんが、自分に居場所を与えるのも若林くんの幸せだと気付いて、自分しか若林くんを幸せにしてあげられないと気付いてくれたら良い。そんな源岬を書きたいです。(なのに、書き上がったのはこれでした)
スポンサーサイト
テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック
|