※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。 「岬の方が合流遅れるとはな」 呟いた若林に、三杉は白けた視線を向けた。 この世代としては、世界でも有数のGKであり、このチームを牽引する実力者である若林は、こと恋人のこととなると、てんで情けない。黙っていれば男らしく優れた容貌さえ、だらしなく見るに堪えないものに成り下がる。 「まあ、そんなこともあるよ」 逆に岬さえいなければ、サッカーの実力だけでなく、人望も厚く、抜群のリーダーシップを発揮して、チームをまとめあげる要となる若林だ。むしろ別々に招聘した方が良いのでは、という考えが三杉の脳裏に浮かんだ。 「本当に好きなんだね」 しかも、岬の必死の努力もあって、若林のこのていたらくは隠しおおせている。たまたま気付いてしまった三杉としては、全面的にフォローせざるを得ない。三杉にとっては忌ま忌ましい限りだ。 「ああ。こんな時ぐらいしか一緒に戦えないからな」 若林は微笑んでみせたが、その口調は寂しげで、現役でいられる時間の短さ、を思い起こさせた。 「そうだね。彼とのプレーは楽しいからね」 恋をして、自分を見失う姿は愚かそのものであるし、それを必死に隠すのも愚の骨頂に見える。それでも、二人で花の時を過ごせるのは、どんなに幸せなことだろう。 三杉はため息をつくと、今回の愚痴には目をつぶることにした。 「イメージもあるから、他のみんなには言わないようにね」 感銘を受けても、釘を刺すのを忘れないのは三杉らしいことであったが。
(おわり)
拍手ありがとうございます。 タイトルそのままです。
(おまけ)
「その時の岬が本当に可愛くてな」 三杉は何故かそのまま若林のノロケを聞かされていた。かれこれ10分になる。 「まさか、それ本人にも言ってるのかい?」 勢いの止まらない若林に水を差すため、嫌味たっぷりしかも隠さずに尋ねた三杉だったが、若林は間髪入れずに、平然と言い放った。 「ああ、もちろん」 おそらくノロケの何倍も本人に囁き続けているに違いない、と三杉は推測し、自分の想像に悪酔いそうになった。 「岬くんは大変だね」 サッカーの時の激しさが嘘のように、深みのある優しい声で、繰り返しとめどなく囁かれる愛の言葉の洪水。三杉でさえ疲弊するような拷問だ。 「岬は恥ずかしがりだからな」 恥ずかしがりではなく、困っているのではないだろうか。ひどい誤解に気付きながらも、三杉は指摘する気になれず、心の中で岬に詫びた。
(おわり)
拍手ありがとうございます。 三杉さま受難シリーズとなりつつある「五十音」。
次の更新は21日です。 予約更新で油断していたら、目次の更新忘れていました。 あと、DRAGON PUNCHERのみちんこ様に差し上げた話「男の毒」を本日アップしていただきました。にょたもので時代劇でパスワード記事ですが、ご興味がある方はどうぞ。
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック
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