※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。 「若林くん、三杉くんから荷物が届いたよ」 そう言うと、岬は受け取った郵便物を持って来た。とはいえ、贈り主が三杉ともなると、二人の顔には緊張が走る。これが松山なら間違いなく北海道ギフトであるし、森崎なら静岡ふるさと便なので、安心して開封するところであるが。 「とりあえず、開けるよ」 「・・・ああ」 若林の承諾を確認し、岬はカッターでガムテープを切ると、恐る恐る段ボール箱を開けた。
梱包材代わりのタオルに包まれて入っていたのは、愛らしいうさぎのぬいぐるみで、岬が思わず声をあげて抱き上げる。 三杉らしいことだと若林は思った。普段なら、ぬいぐるみを送られても困る若林だが、岬が来ている時は別だ。ぬいぐるみを笑顔で愛でる岬が可愛くて目を細めながらも、ふと若林は考えた。 「岬、三杉にこっちに来ること言ったか?」 若林の質問に、岬は真意を量りかねて首を傾げる。 「ううん。もし言ってたら、僕に預けたかも知れないけど。これ、多分君宛てだよ」 若林にはぬいぐるみを送られる理由も受け取る理由もなかった。特にぬいぐるみに関心がある訳ではない。可愛いとは思うが、それはそれを抱いている岬込みの話で、可愛いの主成分は岬の方だ。 「手紙も入っていたよ」 岬は箱から封筒を取り出し、そのまま若林に渡した。若林が開封してみると、ぬいぐるみは確かに若林宛てで、岬がなかなか遊びに来なくて寂しいだろうから、と綴られていた。余計なお世話だと思いながらもぬいぐるみを観察すると、確かにうさぎの首には、11と記したプレートがぶら下がっている。
だが、そこまでしてあっても、若林の疑念は晴れない。 「岬、ちょっと貸して」 岬から受け取ったぬいぐるみの腹を触ったり、耳を当てたりして、若林は機械の存在を確かめる。もし違和感があれば、丸く膨れた腹を探っていただろう。幸い、柔らかい腹には、綿やスポンジ以外に何も入っている様子はなかった。第一、三杉が今更二人の睦言を聞きたがるとは思えない。合宿所では若林のノロケを聞かされるのをむしろ迷惑そうにしている。 「三杉が何もないのに、こんなのを送って来るか?」 「・・・それは僕も思うけど」 岬は否定しきれずに、所在なさげにぬいぐるみの頭を撫でる。撫でられて、笑っているように見えるぬいぐるみの顔が、当の岬に似ている気がして、若林は目を見張った。
そりゃ、俺に送って来るよな。三杉の変な気遣いに苦笑しながらも、若林はぬいぐるみを受け取ることにしたのだった。
若林くん、きっと何か噂してくれているね。くしゃみの止まらない三杉は考えた。 彼女の誕生日とホワイトデーと、手作りのものが欲しいとねだられ、仕方なくぬいぐるみを作った。凝り性の彼が、プレゼント選びにどれだけの時間をかけているかを慮ったリクエストではあるが、凝り性の彼はぬいぐるみ作りにもこだわらずにはいられなかった。彼女をイメージして作ったはずのぬいぐるみだったが、彼女には似なかった。そして何故か、友達に似ている。 切り替えの早い三杉は、すぐさま国際郵便を仕立てると、そのぬいぐるみのことはさっさと忘れて、新しいぬいぐるみを作り始めている。 「まあ、呪いかけられてないってことは、喜んでくれたんだろうね」 呟くと、三杉は新しいぬいぐるみに綿を詰め始めたのだった。
(おわり)
拍手ありがとうございます。 ぬいぐるみを送ってくる三杉くん、という謎の着想があったので、書いてみました。・・・どんな電波だったんでしょう。
先日、「指/原/ペディア」という番組で、BL特集をしていたのですが、D/A/IGOのお姉さん(BLも描くマンガ家の影木先生)がインタビューに答えていました。BLにはまったきっかけとして、「キャプテン翼」で「翼くんとか岬くんとか若林くんがケガをするシーン」があり、「苦しんでいる姿が妙に色っぽかった」というエピソードをあげていました。(そして、いとこの同人誌で…という流れ) http://matome.naver.jp/odai/2146566245689092201 すごくよく分かります!心の底から共感してしまいました。某ジャンルの薄い本の新刊、迷っていましたけど、買わせていただこうと思いました(笑)。小学生編決勝戦と来たら、源岬の肩組むシーンまで思い出して、一人で加速して萌えていましたが。 ただ、後半のBLの歴史については、同人誌という要素を除いて、商業誌の歴史の概略のみを追っていたので、ちょっと納得しかねるところがありました。初期の商業BLを描いていたのは、C翼や☆矢の同人作家さん達で、古典的少女マンガの同性愛モノやJUNEは、その作品の根底かもしれませんが、直接的に供給者とマーケットが出来上がったのは、やっぱり「やおい」によるモノではないかと。そういう意味では、少女マンガを祖母、やおいを母として、現在のBLは出来上がったのではないかと。それでいくと、祖父はバブルや80~90年代カルチャー、父は少年マンガなのかなあ。
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック
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