※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。 「クリスマスに欲しいものってある?」 答えが分かりきっていても、岬は必ず尋ねてくる。定例の岬からの電話に、若林は毎年と同じように決まり文句を唱えた。 「岬に会いたい」 「それ以外で」 岬ももう収入があるプロで、自分から会いに行けるし、プレゼントも用意できる。それなのに、若林は決まり文句を繰り返す。高校三年間、冬休みに会うのは夢の夢だったから、その印象が残っているらしい。 「じゃあ、今年もこっち来られるのか?」 「うん。お邪魔させてもらっても良い?」 それだけで、十分クリスマスになる。普段離れている二人にとって、メールでも電話でもなく、実際に会えるだけでも、どんなプレゼントにも勝る。 「もちろんだ。その期間中予定を空けておくぞ」 「・・・そこまでは良いよ」 ここまで歓迎されたら、自分だって何かしてあげたい、と思う。 「だから、プレゼント、何かリクエストあるかな、と思って」 「ジュビロのユニフォーム。サイン入りで着用済み」 明らかに浮かれている若林の声に、岬は困りながらも、口元がほころぶ。ただでさえ会いに行けるようになって嬉しいのに、こんなに喜んでくれると。 「それはダメ」 即答された若林に凹む隙も与えず、岬の声が続く。 「クラブワールドカップで対戦した時に交換するって決めてるから」 お互いがヨーロッパとアジアを征すれば手の届く夢。 「大きく出たな」 かっこいいじゃないか、岬。電話の向こうで輝いている瞳を目に浮かべて、若林は受話器に唇を寄せて囁いた。もっとも、それが実現してしまえば、クリスマスどころではなくなるのだが。 「もう、僕は本気だからね。じゃあ、クリスマス楽しみにしてて」 プレゼントのリクエストは諦めたらしい。相変わらず、さよなら、とは言わない岬らしい挨拶に、若林は時計を見た。日本時刻では、もう夜。 「分かった。また連絡待ってるぜ。おやすみ。良い夢が見られるように」
(つづく)
クリスマス、仏教徒の私が何故こんなに気合をいれているのかは謎ですが、 二人には楽しく過ごしてほしい、という願いをこめて。 タイムリーな話題だけ入れておきました。 あと、やっぱりクリスマス前には夢を語ってほしいです。
拍手文更新しました。クリスマス仕様なので、年内撤去予定。→もう終了しました
from past log<2008.12.22>
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック
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