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今日のきみとぼく
源岬への愛だけで構成されております。
なくしたくない
※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。
「逃げ水」から続いています。

 もし、若林くんが僕を好きになってくれたら。

 時々想像する。恋人になって、笑い合う未来を。
 でも、そんな日は来ない。

 若林くんのところに遊びに行き始めた頃、ドイツ語の勉強も始めた。元々語学はそう苦手ではない。フランスで隣に住んでいるドイツ人のご夫婦がいたこともあって、文法はともかく、簡単な単語はそのうち耳で拾えるようになった。

 ある日、若林くんと一緒に出かけたところで、若林くんのチームメイトに遭遇した。会話に入るのはためらわれて待っている間に、二人の会話が聞こえて来た。
『あれ、最近よく来る彼女だな』
『違う。男友達だ』
『何だ、恋人じゃないのか。ワカバヤシは男はダメだもんな』
『うるさい。じゃあな』
断片ではあるが、ハッキリと聞こえた。その時までそんな風に考えたことはなかったのに、確かに思い当たる節はあった。それで突然思い知った、初恋の痛みと失恋を。
「岬悪かったな、待たせちまって」
「ううん、大丈夫だよ。僕ドイツ語分からないから、話にも入れないし」
僕は嘘をついた。驚かせたくて黙っていたことも飲み込んで、僕は笑って答える。
「どうした、顔色が悪いぞ」
自分でも血の気が引いていることは分かった。無理に笑顔を張り付けた僕に、若林くんは手を差し伸べた。
「無理するなよ」
「大丈夫だから。心配かけてごめんね」
好きになってごめんね。
 心の中で謝って、僕は微笑んだ。

 それから、何人も付き合った。それを隠しもしなかった。若林くんに対しても、誘いをかけることもなく、友達のままでいた。好きな人といられないのなら、誰でも良かった。僕はたいてい恋人を失うと同時に友人も失って、その度に好きな人を失わずに済む、苦い幸運を噛みしめる。

 その度にどうしても会いたくなった。何をしたい訳でもなくて、ただ顔が見たかった。若林くんは、いつ行っても歓迎してくれて、恋人もいる様子もなかった。

「岬、元気だったか?」
「うん。若林くんは・・・元気そうだね」
僕が笑うと、若林くんも笑い返してくれる。その視線だけで、ホッとして胸に沁みていく気がする。

 時々想像する。若林くんと恋人になる未来を。でもすぐに現実を思い知る。
 もし、この想いを口にすれば。友達ですらいられなくなるかも知れない。
 どうしてもこの時間を失いたくはなかった。

(おわり)

拍手ありがとうございます。
反則ですが、続いてしまいました。あと2回くらい続く予定。
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック


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