※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。 対戦した時に、岬に誘われて、一緒に晩飯を食うことにした。 付き合いだけはやたらと長いが、二人で会うのは久しぶりだ。 「若島津、小次郎は元気にしてる?」 「日向さんが元気ない訳ないだろう?」 日向さんはまあ時々悩んだりするものの、健康そのものだ。俺からはうるさがられるので、一日一回しか連絡していないが、日向さんの実家にはそれ以上に連絡があるらしい。 「相変わらずだね」 岬は嬉しそうに微笑む。昔から、日向さんとは仲が良かった岬だ。いつもは連絡を取っていなくても、日向さんも時々岬の様子を聞いて来たりする。 ひとしきり日向さんやタケシの話をした後、次に尋ねたのは俺の方だった。 「若林は元気か?」 俺は若林と仲が良い訳ではない。それでも、岬と会うと若林の話をするのは、二人が付き合っているのを知っている人間が少ないからだ。逆に、若林と会った時には岬の話をする。場を持たせるにはちょうど良い。 「うん。元気そうだよ。この前松山と遊びに行った写真をSNSに上げてたから、うるさかったけど」 岬と松山の写真は俺も見た。対戦のついでに飯食って、松山の恋人のためにお土産を買いに行ったってだけのネタだったはずだが。 「相変わらずか。岬も苦労するな」 「うん、ホントに」 岬がグラスを傾ける。甘そうな酒を飲む奴はあまりいないだけに、少し目を引いた。 「それ、うまそうだな。そう言えば、岬はあまり飲まないよな」 「うん。自分のいない所では飲んで欲しくないらしくって。若島津となら良いらしいけど」 なるほど、飲めない訳でもない岬が、あまり飲まない印象なのは意外だったのだが、そういう理由があったらしい。 「本当に独占欲の塊だな」 「若林くんだからね」 くすくすと声を立てて岬は笑うが、こいつをよく知るだけに、こんな束縛に甘んじるように思えない。 そう口を開きかけた時に、岬は小さくため息をついた。 「それより、困っていることがあってね」 簡単な前置きの後、岬は話し始めた。
最近、ドイツに行く用事のあった三杉が、若林を訪ねたらしい。その時、三杉はあまりの惚気話に辟易して、嫌味を言ったそうだ。他人の惚気で当てられそうにない三杉が辟易するとは、想像を絶する世界だが。 「若林くんは恋人自慢すごいよね」 若林もさるもの、その程度の嫌味を気にするものではない。 「そりゃ、どこもかしこも自慢するところばかりだからな」 悪びれる様子もなく言ったらしい。 「本人が欠点だって言うところも、俺には長所に見えるんだから仕方ない」
「その苦情が僕の方に来るのは筋違いだよね。本当に困るよ」 困る、と言いながらも岬の頬は開いたばかりの花のようにみずみずしい。愚痴には見えない甘さに、それは単に惚気だと悟る。
お前らは間違いなく、お似合いだ。
言いかけた文句を飲み込んで、俺は気のない相槌ばかり続けたのだった。
(おわり)
拍手ありがとうございます。 小咄を始めてから、三杉くんと若島津くんがやたらと犠牲になっている気がします。 ごめん。
ピクシブで、好きでよく見るCPがあるのですが、太郎というと攻の愛称なので、時々変な笑いが出てしまいます。 常に源岬目線が基本。
スポンサーサイト
テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック
|